「トランプ大統領」阻止に死に物狂い、米民主党のウルトラC【ほぼトラ通信】|石井陽子

「トランプ大統領」阻止に死に物狂い、米民主党のウルトラC【ほぼトラ通信】|石井陽子

今度のアメリカ大統領選挙は単なる「トランプvsバイデン」の単純な構図ではない!「操り人形」「トロイの木馬」「毒蛇」――トランプの対抗馬と目されていたニッキーヘイリーはなぜ共和党内からこう批判されるのか。日本では報じられない米大統領選の深層!


まず最初に注目すべきは、副大統領候補、いわゆるランニングメイトが誰になるかではないだろうか。

ここでおもしろい画像をひとつ紹介したい。トランプ前大統領の次男であるエリック・トランプ氏が1月29日、X(旧Twitter)にインターネット・ミーム画像を投稿した。何の説明も添えられず、シンプルに投稿されたその画像とは、トロイの木馬のイラストがベースのものだ。

「トロイの木馬」とはコンピューターウイルスとして有名だが、その語源はギリシア神話のトロイア戦争だ。簡単に述べると、トロイア戦争においてトロイア王国の城壁は鉄壁だったが、撤退を装ったギリシア軍の残していった巨大な「木馬」を城内に引き入れたところ、その木馬の内部に潜んでいた兵隊たちによって城門が破られ、城は陥落して王国が滅びたというものだ。その故事から、相手を油断させて内部に侵入する作戦やその内通者といった意味で使われる言葉だ。

さてそのエリック・トランプが投稿した画像の巨大な木馬には、アメリカ民主党のシンボルであるロバが内部に潜んでいるように表現されている。そしてその木馬の頭はなんと、ニッキー・ヘイリーの顔になっているのだ。つまり、ニッキー・ヘイリーだと思って安心して城内に引き入れると、内部には民主党が潜んでいるぞ、という警告の意味の画像だ。これはヘイリーへのかなり強烈な批判だが、トランプ陣営がヘイリーをどのように見ているかについて示唆に富んでいて非常に面白い。

「トランプ対バイデン」の単純な構図ではない

アメリカ保守派に人気の元Foxニュース司会者タッカー・カールソン氏が、自分の番組をSNSに投稿している1月4日の動画も、同じくヘイリーを「トロイの木馬」だと批判している。X上で530万回再生されているその動画の説明文には「民主党は、バイデンを捨ててギャビン・ニューサム(筆者注:カリフォルニア州知事)を選ぶとあなたは思っただろうが、そうではなかった。彼らは代わりにニッキー・ヘイリーを支持している」とある。YouTube上で同動画は「ニッキー・ヘイリー:民主党のトロイの木馬」と題されている。

その動画の中では、当時出馬中であったビベック・ラマスワミがカールソンからインタビューを受けている。この選挙戦が「トランプ対バイデン」の単純な構図ではないと主張するラマスワミは、ヘイリーが政治状況を操作することを目的とする超党派の団体の便利な操り人形だと指摘し、ブッシュ政権時代のように対外戦争を長引かせ、戦争屋と「検閲産業複合体」の機嫌を取り、行政国家(所謂ディープ・ステート)が米国をコントロールすることに関心を持っていると非難している。

ラマスワミはまた、民主党がバイデンでもギャビン・ニューサムでもミシェル・オバマでもなく、共和党内のヘイリーを下支えするのは、トランプを当選させないよう戦略的にフロントマンとして位置づけ、物語をコントロールするための動きだとも示した。

メディアに愛されたニッキーヘイリー

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