今回の韓国への措置は日本の外交史上、例を見ない汚点|和田政宗

今回の韓国への措置は日本の外交史上、例を見ない汚点|和田政宗

日本外交には理念があるのかと疑問に思う事態が続いている。外交上の大チャンスを逃したり、詰めるべき点を詰めない「なあなあ外交」が行われている――。


白紙に戻ったNATOの東京事務所開設

Getty logo

外交上の大チャンスを逃したことについても言及しなければならない。

今月中旬、岸田文雄首相はNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席した。NATOが東京に連絡事務所を開設する機運が高まっていたが、中国との関係を重視するフランスのマクロン大統領の反対で、開設案は合意に至らず白紙に戻ってしまった。

岸田首相はマクロン大統領を説得して開設の合意を得るべきであったが、なぜしなかったのか。日米同盟、日米豪印クアッドに加え、日本がNATOと連携できれば、日本がアジア太平洋の平和構築のため中心的な役割を果たすことができるのにである。

NATO事務所が東京に開設されれば、侵略国からの我が国の抑止力を高めるだけでなく、アジア太平洋全体が中国、北朝鮮やロシアへの抑止力を高めることができる。

現在、日本は安倍晋三元首相の取り組みにより、地域や世界の平和構築のために日本が防衛戦略上で主導的役割を果たすことができ得る立場となった。そして、TPPには新たに英国が加盟し、ウクライナからも正式に加盟が申請された。

TPPは日本が主導して成立させた枠組みであり、日本は経済連携による世界の平和構築でもリーダーシップを取ることができる立場なのである。これを活かさない手はないのだが、岸田首相はどこまで力を入れるのだろうか。NATOの東京事務所開設は絶対に実現させなくてはならない。

崩壊した「戦後秩序」のなかで、日本が防衛戦略においても経済戦略においても世界の中心でリーダーシップを取ることが、世界の平和と安定につながる。今こそ行動の時だ。

月刊『Hanada』2023年8月号

日本国憲法「改定」

関連する投稿


中国を利するだけだ!「習近平失脚説」詐術の構造|遠藤誉【2025年10月号】

中国を利するだけだ!「習近平失脚説」詐術の構造|遠藤誉【2025年10月号】

月刊Hanada2025年10月号に掲載の『中国を利するだけだ!「習近平失脚説」詐術の構造|遠藤誉【2025年10月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


進化する自衛隊隊舎 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

進化する自衛隊隊舎 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

かつての自衛隊員の隊舎といえば、和式トイレに扇風機、プライバシーに配慮がない部屋配置といった「昭和スタイル」の名残が色濃く残っていた。だが今、そのイメージは大きく変わろうとしている。兵庫県伊丹市にある千僧駐屯地(せんぞちゅうとんち)を取材した。


人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国と対峙し独立を勝ち取る戦いを行っている南モンゴル。100年におよぶ死闘から日本人が得るべき教訓とは何か。そして今年10月、日本で内モンゴル人民党100周年記念集会が開催される。


変わりつつある自衛官の処遇改善 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

変わりつつある自衛官の処遇改善 千僧駐屯地に行ってみた!|小笠原理恵

自衛隊員の職務の性質上、身体的・精神的なストレスは非常に大きい。こうしたなかで、しっかりと休息できる環境が整っていなければ、有事や災害時に本来の力を発揮することは難しい。今回は変わりつつある現場を取材した。


「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】

「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】

月刊Hanada2025年9月号に掲載の『「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


最新の投稿


【今週のサンモニ】「サナエガー」番組にしてはお手柔らか?|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「サナエガー」番組にしてはお手柔らか?|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】韓国社会「連帯」と「分断」の背景に横たわる徴兵制の現実とは  金柄徹『韓国の若者と徴兵制』(慶應義塾大学出版会)|梶原麻衣子

【読書亡羊】韓国社会「連帯」と「分断」の背景に横たわる徴兵制の現実とは 金柄徹『韓国の若者と徴兵制』(慶應義塾大学出版会)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【徹底検証!】フェイクだらけの「石破辞めるな」報道|楊井人文【2025年11月号】

【徹底検証!】フェイクだらけの「石破辞めるな」報道|楊井人文【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『【徹底検証!】フェイクだらけの「石破辞めるな」報道|楊井人文【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


救急隊員が語ったラブホテルのやばすぎる怪現象|なべやかん

救急隊員が語ったラブホテルのやばすぎる怪現象|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!信じるか信じないかは、あなた次第!


日本心臓病学会創設理事長が告発 戦慄の東大病院⑥無気力な東大医学生たち|坂本二哉【2025年11月号】

日本心臓病学会創設理事長が告発 戦慄の東大病院⑥無気力な東大医学生たち|坂本二哉【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『日本心臓病学会創設理事長が告発 戦慄の東大病院⑥無気力な東大医学生たち|坂本二哉【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。