小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

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緊迫する国際情勢を受けて、立憲民主党はさぞかし安全保障をめぐる問題に真摯に向き合うと思いきや、そうではなかった――。自称〝憲法学者〟である小西洋之議員だけではない。立民の質問には、あきれるほど軽く、また本質から外れたものが実に多くみられる。(サムネイルは立憲民主党「国会解説2023」生配信より)


朝日新聞出身議員からの注文

政治家は言葉が命である。それは間違いない。しかし、国語の授業のようなやりとりをされても困る。揚げ足取りの議論は建設的ではない。

朝日新聞出身で元政治部記者の山岸一生衆院議員の発言も、妙なところで言葉遊びをしている印象は否めなかった。

「私は総理の言葉を分析をして、気がついたことがあります。最近総理、言葉の選び方が変わりました。去年の今頃、『検討』ばっかりおっしゃるので、検討使というあだ名がついていました。ところが、最近『検討』と言わなくなった。何が増えたのかと調べてみたら、増えた言葉は『説明』だった」

新聞のちょっとしたコラムで、その分析結果とやらを披瀝するのは、ありだと思うが、予算員会で言われても、「だからなに?」とツッコミたくなる。

山岸氏はさらに「増えているのは『説明』という単語であって、中身の説明を国会で全然おっしゃっていない。私、25分、時間もらっているのでお願いがあります。せめて25分間だけでも『説明』という単語に逃げないで、中身の説明をしてもらえないか」と注文をつけた。

これに対し岸田首相は「『説明』という言葉を使わないで説明しろということでしょうか」と苦笑いし、「要はより中身を答弁しろということかと思います。最大限、政府としての考え方を聞いていただけるよう努力します」と赤子の手をひねるようにかわした。

25分間を有効に使いたいのなら、このやり取りをした数分間を別の問題に当てたほうがよかったのではないだろうか。

小西洋之「超一級の行政文書」と豪語

政府が反撃能力の保有を含む国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定したのは、昨年12月だ。このため、昨年秋の臨時国会では踏み込んだ安保論議が展開されなかった。立民幹部は昨年末、「臨時国会で議論できなかった分、通常国会で安保政策を戦わせる」と鼻息を荒くしていたが、その意気込みはどこへやら。

参院予算委では放送法を巡る問題に焦点があたった。いや、立民が無理やり焦点をあてたといったほうが正確だろう。その立役者は小西洋之参院議員だ。

小西氏は放送法に関する総務省の行政文書を巡り、高市早苗経済安全保障担当相を執拗に攻撃し、議員辞職を迫ったが、総務省が調べたところ、全48ファイルのうち半数以上の26ファイルは作成者が確認できなかった。

作成者だけでなく配布先が不明なものもあり、内容も不正確。小西氏は「超一級の行政文書」と豪語したが、官僚の備忘録でしかないというのが、筆者が文書を読んだ感想である。これでどうやって高市氏を大臣辞任や議員辞職に追い込もうというのか。行き当たりばったりの戦略なき追及だったといえる。

この問題は安倍氏に国会審議などで徹底的に攻撃され、国政選挙では完敗だった立民の意趣返しという側面が多分にあることを指摘しておきたい。岸田首相がどこかひとごとのように見えるのは、このためだ。

立民は「政治的公平」の解釈が、政治的圧力によって変更され、ゆがめられたと主張したかったようだが、正確性が担保できない文書で、放送行政がゆがめられたかどうかを立証するのは極めて難しい。

そもそも、政治的圧力の有無にかかわらず、解釈変更ととらえることに無理がある。政治的公平を大きく逸脱する番組が、ひとつだけだからという理由で許されるほうがおかしい。つまりは、平成27年5月の高市氏の答弁「ひとつの番組のみでも極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」は、政府がいうように補充的説明ととらえるべきなのである。

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