小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

小西、杉尾、石垣、福山、蓮舫……立憲民主党という存在の耐えられない軽さ|坂井広志

緊迫する国際情勢を受けて、立憲民主党はさぞかし安全保障をめぐる問題に真摯に向き合うと思いきや、そうではなかった――。自称〝憲法学者〟である小西洋之議員だけではない。立民の質問には、あきれるほど軽く、また本質から外れたものが実に多くみられる。(サムネイルは立憲民主党「国会解説2023」生配信より)


杉尾秀哉の質問はレベルが低い

放送法を巡る問題に限らず、杉尾氏の質問はレベルが低い。野党議員だから政府を批判するのは当たり前と聞き流すわけにはいかない。

国家安全保障戦略など安保3文書に盛り込まれた反撃能力の保有について問われると、岸田首相は「ミサイル攻撃から国民の命を守るためのものだ。ミサイル攻撃から国民の命を守る盾のための能力だ」と答弁した。

杉尾氏の反論はこうだ。

「そういうふうに言うのであれば、ICBM(大陸間弾道ミサイル)だって、空母だって、長距離爆撃機だって、全部国民の命と暮らしを守るためのものじゃないか。今の論理で言えば、全てこうした兵器も含めて、これも盾であって矛ではないということになるんですか」

へ理屈とはこのことである。

首相が「反撃能力というものは、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力として、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる」と説明すると、「あくまでも今答弁あったように、可能性を低下させるものに過ぎない」とあくまでも否定的にとらえるのである。「過ぎない」といっても、武力攻撃を受ける可能性をいかに低下させるかは極めて大事なことである。

杉尾氏は国会議員として、国民の命を守る責務についてどう考えているのだろうか。結局、立民に政権を任すことができないのは、この議論が象徴しているように、立民にはまともな安保政策を打ち立てることができないと、多くの国民が見抜いているからにほかならない。

自称〝憲法学者〟がサル発言

小西氏はその後、週1回の開催が定着している衆院憲法調査会を念頭に「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」「私は憲法学者だ。憲法学者でも毎週議論なんてできない。何にも考えていない人たち蛮族の行為だ。衆院なんて誰かが書いている原稿を読んでいるだけだ」と暴言を吐いて大炎上した。

この発言が報じられると、今度はツイッターに「偏向報道を続けるNHKとフジテレビに対し、放送法などあらゆる手段を講じて、その報道姿勢の改善を求めたい」「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」と投稿するなど、恫喝まがいの行為に出た。

小西氏が問題視した「政治的圧力」とやらを自らが実行するという、これ以上にない自己矛盾をしてみせたわけだ。

超ド級のブーメランとなって返ってくるあたりが、いかにも立民議員である。

これを受け、泉代表は参院憲法審査会の野党筆頭幹事から更迭すると発表したが、後任は小西氏同様にスタンドプレーが甚だしい杉尾氏だった。案の定、杉尾氏は参院憲法審で緊急時に限り国会議員の任期延長を可能にさせるための改憲について「私たちの会派は明確に反対する」と踏み込んだ発言をし、衆院憲法審査会で立民の奥野総一郎議員は「個人的意見だ」と釈明に追われた。

議論の撹乱要因になることが初めから想定された杉尾氏を後任に送り込むとあっては、党側が小西氏の発言について本当に反省しているのか疑わしい。

関連する投稿


自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と日米安保条約に不満を漏らしたトランプ大統領。もし米国が「もう終わりだ」と日本に通告すれば、日米安保条約は通告から1年後に終了する……。日本よ、最悪の事態に備えよ!


【新連載】若き仲間たちへ①失敗と贈る言葉|高市早苗【2025年4月号】

【新連載】若き仲間たちへ①失敗と贈る言葉|高市早苗【2025年4月号】

月刊Hanada2025年4月号に掲載の『【新連載】若き仲間たちへ①失敗と贈る言葉|高市早苗【2025年4月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】

【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】

月刊Hanada2025年3月号に掲載の『【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


自衛隊の特定秘密不正の多くは政令不備、いますぐ改正を!|小笠原理恵

自衛隊の特定秘密不正の多くは政令不備、いますぐ改正を!|小笠原理恵

潜水手当の不正受給、特定秘密の不正、食堂での不正飲食など、自衛隊に関する「不正」のニュースが流れるたびに、日本の国防は大丈夫かと心配になる。もちろん、不正をすれば処分は当然だ。だが、今回の「特定秘密不正」はそういう問題ではないのである。


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


最新の投稿


【今週のサンモニ】論理破綻な「旧統一教会解散命令」報道|藤原かずえ

【今週のサンモニ】論理破綻な「旧統一教会解散命令」報道|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


大相撲界に噂される「ブラックボックス」|なべやかん

大相撲界に噂される「ブラックボックス」|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!


【今週のサンモニ】潔癖で党総裁になったのに潔癖でなかった石破首相|藤原かずえ

【今週のサンモニ】潔癖で党総裁になったのに潔癖でなかった石破首相|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】悪用厳禁の書! あなたの怒りは「本物」か  ジュリアーノ・ダ・エンポリ著、林昌弘訳『ポピュリズムの仕掛け人』(白水社)|梶原麻衣子

【読書亡羊】悪用厳禁の書! あなたの怒りは「本物」か ジュリアーノ・ダ・エンポリ著、林昌弘訳『ポピュリズムの仕掛け人』(白水社)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と日米安保条約に不満を漏らしたトランプ大統領。もし米国が「もう終わりだ」と日本に通告すれば、日米安保条約は通告から1年後に終了する……。日本よ、最悪の事態に備えよ!