杉尾秀哉の質問はレベルが低い
放送法を巡る問題に限らず、杉尾氏の質問はレベルが低い。野党議員だから政府を批判するのは当たり前と聞き流すわけにはいかない。
国家安全保障戦略など安保3文書に盛り込まれた反撃能力の保有について問われると、岸田首相は「ミサイル攻撃から国民の命を守るためのものだ。ミサイル攻撃から国民の命を守る盾のための能力だ」と答弁した。
杉尾氏の反論はこうだ。
「そういうふうに言うのであれば、ICBM(大陸間弾道ミサイル)だって、空母だって、長距離爆撃機だって、全部国民の命と暮らしを守るためのものじゃないか。今の論理で言えば、全てこうした兵器も含めて、これも盾であって矛ではないということになるんですか」
へ理屈とはこのことである。
首相が「反撃能力というものは、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力として、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる」と説明すると、「あくまでも今答弁あったように、可能性を低下させるものに過ぎない」とあくまでも否定的にとらえるのである。「過ぎない」といっても、武力攻撃を受ける可能性をいかに低下させるかは極めて大事なことである。
杉尾氏は国会議員として、国民の命を守る責務についてどう考えているのだろうか。結局、立民に政権を任すことができないのは、この議論が象徴しているように、立民にはまともな安保政策を打ち立てることができないと、多くの国民が見抜いているからにほかならない。
自称〝憲法学者〟がサル発言
小西氏はその後、週1回の開催が定着している衆院憲法調査会を念頭に「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」「私は憲法学者だ。憲法学者でも毎週議論なんてできない。何にも考えていない人たち蛮族の行為だ。衆院なんて誰かが書いている原稿を読んでいるだけだ」と暴言を吐いて大炎上した。
この発言が報じられると、今度はツイッターに「偏向報道を続けるNHKとフジテレビに対し、放送法などあらゆる手段を講じて、その報道姿勢の改善を求めたい」「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」と投稿するなど、恫喝まがいの行為に出た。
小西氏が問題視した「政治的圧力」とやらを自らが実行するという、これ以上にない自己矛盾をしてみせたわけだ。
超ド級のブーメランとなって返ってくるあたりが、いかにも立民議員である。
これを受け、泉代表は参院憲法審査会の野党筆頭幹事から更迭すると発表したが、後任は小西氏同様にスタンドプレーが甚だしい杉尾氏だった。案の定、杉尾氏は参院憲法審で緊急時に限り国会議員の任期延長を可能にさせるための改憲について「私たちの会派は明確に反対する」と踏み込んだ発言をし、衆院憲法審査会で立民の奥野総一郎議員は「個人的意見だ」と釈明に追われた。
議論の撹乱要因になることが初めから想定された杉尾氏を後任に送り込むとあっては、党側が小西氏の発言について本当に反省しているのか疑わしい。