ウクライナを「失敗国家」呼ばわり
プーチン氏は昨年7月もウクライナに関する論文を発表し、帝政時代、大ロシア、小ロシア、白ロシアは同じスラブ民族で、一つの家族だったが、ソ連の民族政策によって、ロシア、ウクライナ、ベラルーシという3つの個体に分割されたと指摘した。
その上で、「ウクライナの主権はロシアとのパートナー関係の下で初めて実現する」と強調した。ウクライナの国家主権を制限する「制限主権論」である。
ウクライナは1991年のソ連邦解体で初めて独立を達成した。その後の30年は親露派の東部、親欧米派の西部の政治的対立や経済困難で茨の道だった。
プーチン氏は演説で、ウクライナ指導部の30年間の失政を非難し、ウクライナを「失敗国家」呼ばわりする。
プーチン氏には、ウクライナへの屈折した優越感があり、2014年にクリミアを併合し、ウクライナ東部の親露派に独立を宣言させた。弟分が欧米寄りになり、NATO加盟を目指すのは許されないのだ。したがって、ウクライナをいたぶり、弱体化させ、機を見て領土を奪ってきた。