なぜ全面戦争を仕掛けたのか
ロシアのプーチン大統領は2月24日、ウクライナへの「特別軍事作戦」を軍に命じ、ロシア軍が北、東、南の3方面からウクライナに侵攻した。一方的に戦争を仕掛ける侵略行為であり、欧州は第二次世界大戦後、最も深刻な安保上の危機に直面した。
ロシア軍は初日の攻撃で、ウクライナ各地の防空施設や空軍基地70カ所以上を巡航ミサイルで攻撃して制空権を確保。続いて地上部隊が進撃した。ロシア側は首都キエフを制圧し、ゼレンスキー政権の追放を狙っているようだ。
それにしても、プーチン大統領はなぜ時代錯誤で野蛮な全面戦争を仕掛けたのだろうか。北大西洋条約機構(NATO)加盟を防ぐ地政学要因や過剰な安全保障意識が指摘されるが、それ以上に「ウクライナはロシアの一部」とするいびつな歴史観が影響している。ここでは、攻撃命令につながったプーチン氏の屈折したウクライナ観を分析する。