立憲民主党の枝野幸男代表は16日、国会内で記者団に「少なくとも、今、共産党が暴力革命を目指しているとは全く思っていない」と八代発言の内容を否定し、安住淳国対委員長も「われわれも黙って見過ごすことはない」「場合によってはBPO(放送倫理・番組向上機構)への対応も考えなければならない」(15日の野党国対委員長会談)と述べている。
元文部科学省事務次官の前川喜平氏まで、ツイッターで「八代英輝氏は、共産党に関する虚偽発言について、きちんとした謝罪と訂正を行い、責任をとって番組を降板すべきだ」とまで主張している。
こうしたなかで「ひるおび」のスポンサー企業が一時提供を見合わせることを発表し、あっという間に“八代包囲網”ができあがってしまった。
本来、テレビなどメディアを通じての政治的な発言は自由であるべきだ。批判した相手から抗議されたことを理由にその発言を取り下げていては言論の自由は成り立たない。批判に不服なら反論すればいい。スポンサーがなぜ提供見合わせを表明したのか、くわしい理由は明らかにされていないが、政治的な論争が視聴者や消費者に与えるイメージが良くないというのなら、まさに同調圧力による言論封殺である。
政府見解は「暴力革命の方針に変更なし」
八代氏は13日の最初の「謝罪」のなかで発言の根拠が政府見解であることを説明している。
この政府見解とは、共産党の動向に関する国会議員の質問主意書に対する政府の答弁書のことだ。閣議決定されているその答弁書には「(共産党は)日本国内において破防法に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがあり、いわゆる『敵の出方論』に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している」と書かれている。同様の答弁書がことし3月と6月に出されている。
加藤勝信官房長官は14日の記者会見で、こうした政府見解について「公安当局が同党の各種文献を調査するなどして総合的に判断したものである」と述べ、「これまでも国会答弁や質問主意書など累次にわたり明らかにしている」と強調している。
ポーズだけの公安批判
八代発言の根拠がこうした政府見解にあるのなら、共産党はTBSや八代氏を批判するのではなく政府にこそ、その見解を撤回させるべきだ。公安当局=公安調査庁の調査活動が違法、違憲だというなら、違憲訴訟を起こして法的に決着させればいい。
もちろん共産党はこの加藤長官の発言にも「事実をゆがめた妄言は絶対に許されません」「全く根拠のないデマです」(16日のしんぶん赤旗「主張」)など反発している。
だが、八代氏には再度にわたり発言の撤回を求めたのに、加藤発言には抗議の姿勢は示しても具体的な発言撤回の行動は見られない。ファイティング・ポーズだけなのだ。
なぜポーズだけなのか? また「敵の出方」論とは何か? については詳しく後述するが、その前に「暴力革命」についての私見を述べておきたい。