捏造記事の繰り返し
こうした地元の有力政治家による陳情と役所間の密接なやり取りのどこに、昭恵氏の影響が介在する要素があり得るのか。それも財務省記録が記録しているのは、籠池氏による昭恵夫人発言の伝聞であり、直接の働きかけではない。伝聞と写真だけで、朝日が言うように本当に「風向きが一変」するなら、昭恵夫人の訪問した先々で小学校はおろか、大学でもスキー場でも風力発電所でも何でも立つに違いない。昭恵氏の写真は水戸黄門の印籠なのか。
朝日は「必死の責任論封じ 削られた『昭恵氏』」と大見出しを打ったが、削られたのは約300カ所、昭恵氏の名前が出てくるのは3カ所に過ぎない。
いま挙げた箇所以外では、平成27年1月8日に産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載され、そのなかで「安部(原文ママ)首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される」と出ているのが1件、もう1件は森友学園への議員等の来訪状況のなかに列記されているに過ぎない。
さらに、この案件が「特例」とされていることを昭恵氏に結びつけるマスコミや野党の議論があるが、ナンセンスという他はない。「特例」は制度上認められており、違法性はない。だから、削除された部分にはっきりと《通例は平成13年3月30日の通達「普通財産貸付事務処理要領」によって貸付期間は3年だが、この案件の公共性から10年間の事業用定期借地契約を行う》「特例」的な措置だ、と決裁文書に記載されているのである。
要するに、朝日新聞は、拙著『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』で、壮大な「捏造」の実態を検証し、私以外にも数多くの論客がほぼ同方向の批判をしてきたにもかかわらず、全く同質の捏造記事を今回も繰り返しているのである。
ここまで批判が届かず、ここまでで輿論を簒奪することに躊躇いがない新聞社に対しては、私のような一物書きが何を書こうと、最早意味がないのではないかとの無力感を覚えざるを得ない。社会的制裁に向けて日本人が本当に立ち上がらない限り、こうした「嘘」が輿論を動かす異常事態のなかで、わが国は本当に沈没しかねない。とりわけ、北朝鮮情勢と森友・加計の確信犯的な虚報の嵐が連動してみえることに、私は大きな疑問と懸念を感じている。
それに加えて、今回は驚くべき事実を告発しなければならない。
訴状で事実を「偽造」
冒頭で述べたとおり、朝日新聞はあろうことか私への訴状で、自ら名誉棄損に当たるとして示した摘示事実を「偽造」しているのである。 具体的に述べよう。 「総理の意向」と書かれた文科省文書の解釈の部分だ。 私は拙著で、この文書は加計学園の新設に関して「総理の意向」など全くなかったことを示していることを丹念な読みで明らかにしたが、朝日新聞は訴状で、小川の読みは誤りで、この部分は「今治の獣医学部の開学時期を最短距離に早めるのが総理の意向だ」と読めると主張しているのである。 以下、訴状の該当箇所を示そう。
《訴状 キ─(イ) 次に、上記の文書のうちの「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題する文書(甲14)には、
1今治市での大学設置の時期について「『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる情況であり、これは総理のご意向だと聞いている。」との記載があり、
2次いで「規制緩和措置と大学設置審査は、独立の手続きであり、内閣府は規制緩和部分は担当しているが、大学設置審査は文部科学省。大学設置審査のところで不測の事態(平成30年開学が間に合わないこと)はあり得る話。」との懸念が記載され、
3続いて、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上旬中には本件を諮問会議にかける必要あり。」と記載され(ている。)》