財務省と朝日新聞―超エリート組織の瓦解
強い非難の言葉はできる限り使いたくない。言葉のインフレが起きてしまい、読者の味覚が効かなくなるからだ。しかしそれでも言わざるを得ない、朝日の「捏造」はどこまで続くのか、と。
一度嘘をついた人間はどこまでも嘘をつき通すとはよく言われるが、数百万部の新聞で公然と歪曲とを自在に混ぜ合わせて社会を紊乱するこの新聞社の神経は、もはや常人では計り知れないところまできているように思われる。
驚くべきことを1つ公表せねばならない。朝日新聞社は、飛鳥新社と私を相手取った訴状のなかで、何と名誉棄損の事実摘示のど真ん中で「文書偽造」をしてのけているのだ。例の「総理の意向」と書かれている文科省文書の引用で、一文を故意に省くことで文意を180度反対に捻じ曲げている。
「私は昼にカツ丼を食った。そのあと人を殺した。あー、楽しかった」という文章を「私は昼にカツ丼を食った。あー、楽しかった」と省いたら、これは単なる省略ではなく、文意の根本的な偽造だ。同じことを朝日新聞は訴状の核心部分でしているのだ。 裁判所を騙す驚きの禁じ手だ。こんなことを公然とするようでは、もうどんな非難の言葉もこの会社には届かないということであろう。
しかし、その話はあとにとっておく。その前に、朝日新聞が最近スクープした財務省文書の改竄スキャンダルを取り上げておきたい。
朝日といい、財務省といい……。どちらもが、戦後日本のトップエリートとされてきた組織ではないか。その、いわば日本の学歴エリートの2つの巨大組織が、どちらも「捏造」「嘘」 「改竄」 「隠蔽」を平気で行っていることに、日本のいまの国情の深刻さを私は思わざるを得ない。
森友問題は安倍スキャンダルではなかったが、ここにきて、朝日に加え、財務省も含めた日本の超エリート組織の人間性の瓦解というスキャンダルだったことが明らかになりつつある。
これは、私が常日頃主張してきた戦後の日本国そのものの、精神的な意味での破綻を象徴しているのではないか。朝日を叩き、財務省を叩いていれば済むという問題ではないのではないか。大日本帝国がエリートの官僚病で瓦解したことを、遥かに劣悪な形で、いまの日本が辿りつつあることを示す国の深い病気なのではあるまいか。