中国に尻尾を振り、呑み込まれる韓国|山本光一

中国に尻尾を振り、呑み込まれる韓国|山本光一

クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略』(小社刊)で中国のオーストラリア侵略計画が明らかになったが、中国の侵略はオーストラリアに留まらず世界各地で繰り広げられ、中でも韓国は、もはや中国にずっぽり呑み込まれてしまっている……。韓国語翻訳者として韓国に精通した著者が、中国の「目に見えぬ」ならぬ、露骨な「目に見える」侵略を徹底解説!(初出:月刊『Hanada』2020年10月号)


2019年11月、ソウルのある大学のオンラインコミュニティに、「中国人留学生の蛮行を広く知らせてほしい」というタイトルの書き込みがアップされた。それによると、

「中国人留学生が香港のデモを支持する韓国人学生を隠し撮りして中傷している。ある女子学生は、本人の写真に『私は寄生虫のような売女』など、侮辱的な言葉を付され、構内の掲示板にも貼られた」

「中国人留学生は数が多く、自分たちでチャットルームのような連絡システムを作っており、香港を支持する学生たちの個人情報をばらまき、殺す、と脅迫している。この蛮行を広く知らせてほしい」

とのことだった。 

ソウル大学の学生が香港市民を応援する文をポストイット(付箋)に書いて貼る壁、レノンウォールを校内に設置した。香港では、2014年の雨傘革命から市民が政府を糾弾し、民主化の願いを込めた言葉を書いて貼った。香港を支持する延世大学の韓国人学生は、大学の構内に香港民主化支持の垂れ幕を掲げた、などなど。

すると中国人学生たちが反発、香港の民主化を支持する集会の近くで、香港警察を擁護し、デモ隊を批判する対抗集会を開いた。彼らは「一つの中国」を叫び、「香港の警察を支持する。香港のデモ隊は違法行為をしている」と主張した。

ソウル大学の学生たちが校内に設置したレノンウォールも壊され、延世大学に掲げられた垂れ幕も身元不明の者に二度、毀損された。

2016年秋、朴槿惠大統領を退陣に追い込んだロウソク集会に「中国の情報機関が中国人留学生を密かに参加させていた」という指摘もある。

中国の「協力」を得る

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暗殺、投獄、自殺……韓国の歴代大統領の退任後は、あまりに過酷なものだった。ロウソク集会で朴槿惠を弾劾に追い込み、盧武鉉が自殺したときに大統領だった李明博まで厳しく処断した文在寅も、自分の退任後に思いを馳せれば、当然、強い不安と恐怖を感じているはずだ。

その点は文政権の執行部も重々承知で、「もうこれ以上、悲劇は繰り返さない」とばかりに将来に向けて万全の手を考えていた。

李海共に民主党代表は「20年政権構想」を掲げた。次の大統領選挙の前哨戦で、「二十年政権」実現への第一歩となったのが、今年4月に実施された国会議員総選挙だった。

民主党陣営でこの選挙を指揮したのが楊正哲前民主研究院長だ。彼は文在寅が当選した前回の大統領選挙でも、選挙参謀として勝利に貢献していた。

2019年5月、青瓦台広報企画秘書官だった楊正哲は、党のシンクタンクである民主研究院の長に就任する。民主研究院長となった楊正哲が最初にしたことは北京に飛び、中国共産党中央党校と政策協約を結ぶことだった。

中国共産党中央党校は中国共産党の高級幹部を養成する学校。過去、毛沢東、胡錦濤、習近平ら主席が校長を務め、党の方針を説明したりしてきた機関だ。

同年7月、民主研究院は、韓国のシンクタンクとして初めて中国共産党中央党校と政策協約なるものを結んだ。これに対し、韓国の保守から「一党独裁」や「人権弾圧」などの手法を学び、韓国に導入するのでは、と懸念する声が出た。

楊正哲が民主研究院長に就任した19年5月、アメリカは国防権限法により、安保への脅威を理由に華為(ファーウェイ)をブラックリストに載せ、韓国などの同盟国に次世代移動通信システム5G事業から華為を排除するよう圧力をかけ始めた。その背景には、中国が17年6月から施行した国家情報法があった。

同法第7条には、「いかなる組織および個人も国の情報活動に協力する義務がある」と規定、中国のすべての企業や国民に中国共産党の命令にしたがってスパイ活動をすることを義務づけた。

華為などの中国企業が5Gを世界に張り巡らせると、中国共産党がこのシステムを通じて世界中から膨大な情報を吸い上げることができるようになる。アメリカはそれを警戒したのだった。

中国の顔色を窺う韓国

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