1. 動物の受容体よりもヒトの受容体に適応しているACE2受容体結合領域。上述の通り動物由来のウイルスならば、最初はヒトの受容体よりも、自然界でそのウイルスの宿主になっていた動物の受容体に結合しやすくなっているはずである。にもかかわらず、新型コロナウイルスは他のどの動物よりヒトのACE2受容体に最も結合しやすくなっていたのである[19]。実験室でヒトのACE2受容体を人工的に発現させたマウスでウイルスを継代培養すると、ヒトのACE2受容体に最も結合しやすいウイルスを人工的に作ることが可能である。
2. 他のSARS系のウイルスには見られないフーリン切断部位(フリン開裂部位)の挿入[20]。天然にはないフーリン切断部位をSARS系のウイルスに人工的に挿入して感染性を強める実験は多数行われており、米国の研究機関と武漢ウイルス研究所が共同でDARPA(米国防高等研究計画局)に提出した研究計画書(DEFUSE)にもその計画が具体的に記されていた[21]。
安全管理が緩い実験室で研究していた中国
第2の主張は、この「自然界には存在しない特徴」の1点目に関連している。つまり、ACE2受容体結合部位が最初から人に最適化されていたため、1度のスピルオーバーでパンデミックを引き起こすのに十分だったのである。
第3の主張に関しては、武漢ウイルス研究所と共同研究を行っていたノースカロライナ大学のラルフ・バリックが、FOIA(情報公開法)請求によって入手されたDEFUSE提案書の草稿にそれを裏付けるコメントを残していた。そこにはこう書かれている。
「米国では、これらの組換えSARS-CoV(SARSウイルス)、特にヒトの細胞に結合し増えるものは、BSL3(バイオセーフティレベル3:安全管理が厳しい実験室)で研究されている。しかし中国では、これらのウイルスをBSL2(バイオセーフティレベル2:安全管理が緩い実験室)で培養するだろう。米国の研究者がこれを知ったら驚くぞ。」[21]