日本人だけが知らない「新型コロナ起源説」世界の常識|掛谷英紀

日本人だけが知らない「新型コロナ起源説」世界の常識|掛谷英紀

新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所で作られ、流出したものであるという見解は、世界ではほぼ定説になっている。ところが、なぜか日本ではこの“世界の常識”が全く通じない。「新型コロナウイルス研究所起源」をめぐる深い闇。


以下では、上の5つの見解のうち、科学的な根拠に当たる4点について、具体的に説明したい。ただし、この解説には前提となる基礎知識が多少必要になる。そこで、まず新型コロナウイルスの感染メカニズムについて解説する。ここからしばらくは、若干難しい話になることはあらかじめご容赦いただきたい(難しい話をスキップしたい方はこれより以下、小見出し「神経毒性のある生物兵器の開発部隊と共同研究」までを読み飛ばしていただきたい)。

ウイルスは細菌と違い、栄養があれば自己増殖するわけではない。ホストとなる細胞(宿主細胞)に入り、その細胞の機構を使ってはじめて増殖が可能となる。よって、まずは宿主細胞に入ることが必要である。そのために、細胞の表面にある受容体のうちの一つに結合することが必要となる。受容体には様々なものがあるが、新型コロナウイルスを含むSARS系のウイルスの場合は主にACE2(アンジオテンシン変換酵素2)受容体を使っている。ウイルスの突起部分にあたるスパイクタンパクがACE2受容に結合することによって、ウイルスは細胞表面に捕捉される(図参照)。

2012年に中東で流行したコロナウイルスであるMERSはDPP4受容体という別の受容体に結合することが知られている。

これらの受容体は、同じ受容体であっても動物によって微妙に異なる。それゆえ、通常は動物のコロナウイルスがヒトに感染することはない。進化の過程で、その動物の細胞の受容体への結合に最適化されていくからである。ところが、ある動物のウイルスが、偶然ヒトの受容体にも結合することがある。その場合、そのウイルスは動物にもヒトにも感染する。これを人獣共通感染症という。動物のウイルスがヒトにも感染するようになることをスピルオーバーという。

編集部作成

なぜ世界的に大流行したのか

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