歴史的に重要な意味をもつ2025年
世界で中国の支配に苦しんでいる諸民族は、チベット、ウイグル、南モンゴル、香港と様々にある。その中で、実は今年(2025年)は、南モンゴルにとって歴史的に非常に重要な意味を持つ年であることはほとんど知られていない。なぜ今年が重要なのか。結論から言えば、今年は、南モンゴル独立解放運動にとって、その中心組織である内モンゴル人民党の前身、内モンゴル人民革命党が結成されて100周年という歴史的な節目の年なのだ。
「内モンゴル人民党」と言っても、大半の日本人、さらには南モンゴルの支援運動に関わっている日本人も含めて、ほとんどその名前すら聞いたことがないかもしれない。しかし、一度は下記の旗(画像1)を見たことがある人もいるのではないか。青地に、ソヨンボと呼ばれる炎と太陽と月を配したデザインの旗だ。チベットの国旗(雪山獅子旗)、ウイグルの水色に月と星を配した旗(トルコ国旗と色違い)、香港の「光復香港時代革命」の黒地の旗と共に、街頭活動などで日本だけではなく世界中で掲げられている。実は、この南モンゴルの運動の象徴として掲げられている旗は、内モンゴル人民党の党旗なのだ。
チベットはかつて国際的にも承認された独立国家として長く存続してきた歴史があり、元々その国旗として国際的に認められてきたものを今でも掲げている。一方、香港の「光復香港時代革命」(香港を取り戻せ 我々の時代革命だ)の旗は、2019年から2020年にかけて行われた民主化デモの中で生まれたものであり、個別の団体の旗ではない。
それに対して、南モンゴルには、戦前、日本が支援した徳王政権といった独立した政権が各時期に存在し、それぞれに国旗として掲げた旗が存在した。しかし、運動には統一したシンボルが必要だ。そこで南モンゴルの人たちは、中国からの独立、中国による人権弾圧への抗議活動の中で南モンゴルとしてのアイデンティティを示すものとして、内モンゴル人民党の党旗を掲げるようになっていったのだ。このこと一つを取ってみても、南モンゴルの解放運動における内モンゴル人民党の存在がいかに大きなものか理解して頂けるだろう。世界中で内モンゴル人民党の党旗を掲げて南モンゴルの解放運動が行われているのだ。

画像1 内モンゴル人民党旗

各民族旗 2021年2月4日の記者会見動画より