人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国と対峙し独立を勝ち取る戦いを行っている南モンゴル。100年におよぶ死闘から日本人が得るべき教訓とは何か。そして今年10月、日本で内モンゴル人民党100周年記念集会が開催される。


今も続く問題の構図

この時モンゴルでは何が起きていたのか。辛亥革命に並行して、力を失った清からの独立を目指すモンゴル人たちは、まずいわゆる外モンゴル(現在のモンゴル国の領域を指す)においてボグド・ハン政権を樹立して独立を宣言する。さらに1913年には、同じく清からの独立を目指していたチベットとの間で、相互承認条約を締結してもいる。

この動きの意味するところは重要だ。実は現在にも続く問題の構図が存在している。つまり、清王朝とは満州人が建国し、中国人(漢民族)を征服し、さらにチベット人、ウイグル人、モンゴル人など周辺諸民族をも支配下に収めた巨大な帝国だった。その清王朝が漢民族による辛亥革命で倒れて中華民国が建国されたときに、中華民国は清王朝の領域をそのまま全て支配することを望んだわけである。しかし、チベット人もモンゴル人も、清王朝が倒れた以上、そのまま新しい中華民国に従わなければならない所以は存在しない。当然にしてそれぞれが独立を目指して動き出すことになる。現在の中華人民共和国と諸民族との関係も同じだ。問題は実はここからずっと同じ構図で続いている。

100年に及ぶ苦難の独立闘争がはじまった

さて、外モンゴルで成立したボグド・ハン政権はロシア帝国の力を後ろ盾にしていたが、1917年にロシア革命が起きてロシアそのものが混乱に陥る。その後様々な戦乱を経て、最終的には、ソ連の支援を得て1924年に世界で2番目の社会主義国としてモンゴル人民共和国が成立する。現在のモンゴル共和国の前身だ。ソ連の衛星国としてではあるが、モンゴル人はモンゴルの北半分において一応の独立を達成した。

では、モンゴルの南半分、南モンゴル(いわゆる内モンゴル)はどうだったか。外モンゴルにおけるボグド・ハン政権の成立とその後の戦い、さらに最終的にソ連の支援のもとにモンゴル人民共和国として独立を達成したことに刺激を受け、南モンゴルでも当然独立を求める運動が起きていく。そしてその非常に重要な基点として、1925年10月13日、カルガン(張家口)において、内モンゴル人民革命党が結成される。この結成大会には、モンゴル人民共和国のモンゴル人民革命党から代表の参加もあった他、現在はロシア連邦に含まれているブリヤート・モンゴルのモンゴル人の代表、さらにソ連・コミンテルンの代表、中国国民党、中国共産党を代表する参加者もあった。内モンゴル人民革命党の結成が如何に重要な位置付けだったかがわかる。まさにここから、現在まで続く100年に及ぶ中国からの苦難の独立闘争がはじまったのだ。

中国側に渡すことが秘密裏に決められていた

関連する投稿


習近平主席の焦りと虚構の「日中紛争」|青山繁晴【2026年2月号】

習近平主席の焦りと虚構の「日中紛争」|青山繁晴【2026年2月号】

月刊Hanada2026年2月号に掲載の『習近平主席の焦りと虚構の「日中紛争」|青山繁晴【2026年2月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【現代中国残酷物語 拡大版】香港大火災は中国式大人災だ|福島香織【2026年2月号】

【現代中国残酷物語 拡大版】香港大火災は中国式大人災だ|福島香織【2026年2月号】

月刊Hanada2026年2月号に掲載の『【現代中国残酷物語 拡大版】香港大火災は中国式大人災だ|福島香織【2026年2月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


中国軍機レーダー照射事件 三つの問題点|織田邦男【2026年2月号】

中国軍機レーダー照射事件 三つの問題点|織田邦男【2026年2月号】

月刊Hanada2026年2月号に掲載の『中国軍機レーダー照射事件 三つの問題点|織田邦男【2026年2月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


夫婦でロシア入国禁止の理由とは?|石井英俊

夫婦でロシア入国禁止の理由とは?|石井英俊

民間人にまで及ぶ「ロシア入国禁止措置」は果たして何を意味しているのか? ロシアの「弱点」を世界が共有すべきだ。


チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

日本のメディアは「チャーリー・カーク」を正しく伝えていない。カーク暗殺のあと、左翼たちの正体が露わになる事態が相次いでいるが、それも日本では全く報じられない。「米国の分断」との安易な解釈では絶対にわからない「チャーリー・カーク」現象の本質。


最新の投稿


自民党よ裏切るなかれ|小川榮太郎【2026年3月号】

自民党よ裏切るなかれ|小川榮太郎【2026年3月号】

月刊Hanada2026年3月号に掲載の『自民党よ裏切るなかれ|小川榮太郎【2026年3月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


『国家の生贄』執筆に込めた想い|福田ますみ

『国家の生贄』執筆に込めた想い|福田ますみ

偏見にとらわれたメディアや国民感情が暴走すると、国や政府、警察、司法までがそれに迎合して、いとも簡単に民主主義、法治主義の原則を踏みにじる恐怖。これはロシアや中国の話ではない。法治国家であるはずのこの日本で現実に起きていることなのだ。


【消偽求実 第二号 第一部】中国、台湾包囲軍事演習のターゲットは「高市発言」|遠藤誉【2026年3月号】

【消偽求実 第二号 第一部】中国、台湾包囲軍事演習のターゲットは「高市発言」|遠藤誉【2026年3月号】

月刊Hanada2026年3月号に掲載の『【消偽求実 第二号 第一部】中国、台湾包囲軍事演習のターゲットは「高市発言」|遠藤誉【2026年3月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【読書亡羊】「道産子アメリカ人」が静かに鳴らす警鐘が聞こえるか  ジョシュア・W・ウォーカー『同盟の転機』(日本経済新聞出版)|梶原麻衣子

【読書亡羊】「道産子アメリカ人」が静かに鳴らす警鐘が聞こえるか ジョシュア・W・ウォーカー『同盟の転機』(日本経済新聞出版)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


対中戦略立て直しの絶好のチャンス|櫻井よしこ×垂秀夫【2026年3月号】

対中戦略立て直しの絶好のチャンス|櫻井よしこ×垂秀夫【2026年3月号】

月刊Hanada2026年3月号に掲載の『対中戦略立て直しの絶好のチャンス|櫻井よしこ×垂秀夫【2026年3月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。