松井市長「副市長案件であの制度を決めた」
松井一郎大阪市長は昨夜(5月29日)のネット番組で、橋下徹上海電力疑惑について「副市長案件だった」「他の案件とまったく同じ」という主旨の発言をした。番組は「ひろゆき」とかいうYouTuber(?)がやっている番組らしい。
登場人物:「松井一郎大阪市長」「ひろゆき」「着ぐるみパンダ」
(上海電力の話は動画冒頭から20分42秒後あたり)
パンダ
細々したことなのか大事なことなのか判断しかねるので聞きたいんですけども、いま世間、メディアを賑わせているのが「上海電力問題」ですが、この問題について松井さんはどう思われますか?
松井
「上海電力がメディアを賑わせている」と言うが、ネット社会のメディアだけを賑わせている。
上海電力は当時、東日本大震災の後、民主党政権で固定価格買取を決めて、とにかく「自然エネルギー、太陽光発電をどんどん増やせ」と。当時の菅(直人)さんは、「俺を総理にしておくのが嫌なら、とっとと再生可能エネルギーの固定価格買取制度の法案を通せよ」と言っていた時。その時、国から地方自治体に対して「(地方で)やれる場所があれば、国も後押しするから増やしていけよ」ということで。
上海電力の話は当時大阪市で、いま僕は市長だから、当時の経過を全部調べました。大阪市でいくと、副市長案件で、それほど大きくないんです、あれは。副市長案件で、あの制度を決めた。
最初は上海電力じゃなかったんです。最初は日本の企業が中心でグループ組んでた。それが何年か後に、2年か3年後かな、そのグループの一角に上海電力が入った。でも事業はグループがそのまま同じことやるんで、これは認めていこうと。ただこれだけのことです。
だから一部で橋下さんが、「中国といろんな結託してどうのこうの」と、橋下さんはその時点で詳しいところは知らなかったと思いますよ。僕自身市長になって初めて知ったんだから。
ひろゆき
そもそもメガソーラーで発電したものを買い取りますよという契約ですよね? そして「やりたいところ手を挙げて」と言ったら手を挙げたところが何社かあったということですよね?
松井
そうです。だからメガ発電事業で、これは政府が後押しして「やれやれ」という話だったからね。それに手を挙げたのが、日本の会社をトップとするグループだった。そのグループがその後入れ替わって、そこに上海電力が入ってた。これだけのことです。
ひろゆき
それで、契約条件としては他の地域と一緒で、単に同じ値段で電気を買い取るだけで、何か(上海電力に)特別な便益を与えているわけではないんですよね?
松井
これは、まったく他の案件と同じです。
ひろゆき
そしたら、何が具体的にマズいんですか?
松井
それが僕はわからない。
パンダ
前に打ち合わせで、ひろゆきさんは「これ、全然悪くないと思っているんですよ」って言ってて、そうだなと。ひろゆきさんのいいところは、メディアの公平とか意識せずに、思ったことを素直に言うこと。(後略)
「維新」のトップであり、大阪市長でもある松井氏の発言は重い。しかも大阪市長として、この件を調査したと言っているのである。
私はこれまで、「橋下徹・上海電力疑惑」について、大阪維新の会や日本維新の会などを一緒くたに攻撃することは極力避けてきた。それは、これまでの取材では、この問題に主導的主体的に深く関与しているのは橋下徹氏だけであり、松井氏や維新の名前はまったくと言っていいほど出てきていないからだ。
ただ、松井氏が大阪市長としての権限を使って調査したとして述べていることに間違いがあれば指摘するしかない。
この件で橋下氏を擁護するのであれば、よほどの覚悟をもって取り組むことをお勧めする。今回のようないい加減な発言をすれば、橋下氏や松井市長本人のみならず、大阪維新の会や日本維新の会の所属議員も大火傷を負うことになると警告しておく。
そして今回の発言のなかにも、大火傷の元が入っている。それが「副市長案件」という表現だ。
なぜ「副市長」発言が致命傷なのか。
私は上海電力問題については、最初から橋下徹氏が虚言を弄して逃げ回ることがわかっていたので、私の有料メルマガや対面で行う講演会は別として、「Hanadaプラス」や各種動画では手の内を全ては開示せず、詰将棋のように順番を考えて論点を示してきた。
そして決定的カードの一枚として隠し持っていたのが「副市長爆弾」なのだ。今回の問題でなぜ「副市長爆弾」が重要なのか。2つのブロックに分けて説明する。
(1)絶対に「副市長案件」ではなかった
(2)しかし、橋下氏はいざとなれば副市長のせいにして逃げることがわかっていた
→自分が主導したにもかかわらず、2014年当時に「副市長案件」だと偽装したのが橋下徹氏。