2016年のキャンドルデモには全国各地から多数の中高校生たちが参加したが、彼らを動員したのは当然のことながら、この全教組の教育労働者たちだった。
幼少時から全教組の教育を受け、テレビも新聞も言論労組の息のかかった偏向報道……こんな環境で育った韓国の子供たちが、長じて反日反米・従北親中に走らないわけがない。キャンドル集会で朴槿惠を吊し上げ、文在寅政権を誕生させる原動力となった30~40代の韓国中堅層が、まさにこの世代だったのだ。
主思派=従北勢力の浸透は政権中枢にも及んだ。金大中─盧武鉉と10年続いた左翼政権のあいだ、従北勢力は政権中枢の高級官僚や軍、警察、検察などの治安部門、さらには国家情報院などの情報部門にまで浸透して、その枢要を占めていった。
たとえば、北の対南工作の浸透を防ぐことが最大使命だったはずの国情院でも、保守指向の強い旧陸士出身者が大量にパージされ、代わりに親北左派傾向の強い全羅道出身者が補充された。李明博─朴槿惠時代に移っても韓国政治が容易に転換しなかったのは、国の枢要に左派の残滓が残って政治をコントロールしていたからだ。
2013年に政権を握った朴槿惠は、国内の主思派一掃に乗り出した。翌年には従北労組の代表格であった全教組を非合法化して法外労組に落とし、主思派の巣窟だった野党統合進歩党に解散を命じる。同時に、同党選出の国会議員だった李石基らを内乱陰謀罪で逮捕した。
つまり、その3年後の朴槿惠弾劾は、THAADを導入して中国の逆鱗に触れたと同時に、この時に最大拠点の2つを壊滅状態にされた国内主思派=従北左翼からの報復措置であったと考えられる。
そうやって「積弊」を「清算」して生まれた文在寅政権は、もはや完全な革命政権であると言っていい。就任当初、文政権ナンバー2である大統領秘書室長に指名されたのは、学生運動出身の任鍾だった。任が89年の世界青年学生祝典当時、平壌に女子大生を送り込んで金日成と熱い抱擁を交わさせた全国大学生代表者協議会のリーダーであったことは、韓国では周知の事実である。
その主思派の代表のような人物をナンバー2のポストに指名したのだから、文在寅政権は自ら全体主義の従北左派政権と名乗り出たようなものだ。
打倒すべきは文在寅
全体主義政治の統治手法は、第一に国民を洗脳して暗示にかけることだが、南北融和一辺倒で他を顧みない文在寅政治でやがて経済は疲弊し、外交も悉く失敗を重ねて、もともと主体思想に親近感などなかった大多数の韓国人もようやく催眠状態から抜けつつあるようだ。
3月1日、ソウル中心部の光化門広場で催された式典では、中央で演説する文在寅が3台の大型スクリーンに映し出され、およそ1万人の市民が耳を傾けた。しかし、実はその周囲を取り囲むように、数十万もの韓国人が太極旗(韓国旗)を掲げて結集し、「韓国の自由と民主主義を守れ!」とシュプレヒコールを挙げていたことはほとんど知られていない。
(写真撮影/筆者)
南大門付近を出発した太極旗の群衆は、ロッテホテル→光化門広場→青瓦台→ソウル市庁と、およそ2時間にわたってソウルの中心街を練り歩いた。そのなかには、日の丸や星条旗を掲げて韓日連帯や韓米日連帯を訴える人士もいた。しかし、この事実をほとんどの日本人は知らない。
ソウルに支局を置き、韓国の政情を日々ウォッチしているはずの新聞テレビが、なぜか一切報じなかった。そればかりか、多くの韓国人もこの事情を知らない。言論労組に牛耳られたメディアが「不都合な真実」を一切報道しなかったからだ。
しかし幸いなことに、彼らにはYouTubeやSNSのニューメディアがある。太極旗デモに参加した数十万人は直ちに動画をアップして、配信を始めた。ネットを通じて動画を観た全国の韓国人は、自分と同じように「共産主義者文在寅」の左翼政治に辟易して行動する人々がいるのを知り、ホッと胸をなでおろした。
あの異常な徴用工判決に怒りを感じて報復したいというなら、我々日本人がしなければならないのは「共産主義者文在寅打倒」を叫ぶ彼ら韓国保守層を支援し、1日も早く現大統領を弾劾させることだ。