「住む場所も収入も失った。自殺するしかない」 成年後見制度の報じられない地獄|長谷川学

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成年後見制度の実態が国民にほとんど知らされていないのはなぜなのか? 制度を利用したばかりに民主主義国家にあるまじき凄まじい人権侵害を受け、苦しんでいる人が大勢いる。法制審議会は成年後見制度の見直しに向けた議論を行っており、今年6月10日に見直しに関する中間試案を公表したが――。


凄まじい人権侵害がなぜ報じられないのか?

画像はイメージ

政府は認知症などの障害を持つ人の命と生活を守るために2000年に成年後見制度を作った。現在の制度利用者は約24万人だが、このうち認知症の人は6割の約15万人。認知症の人は約700万人いると推定されるが、そのうちの2パーセントしか制度を利用していない。

利用者が極めて少ないのは、この制度に数え上げれば切りがないほどの欠陥があるからだ。このため現在、法制審議会は成年後見制度の見直しに向けた議論を行っており、今年6月10日に見直しに関する中間試案を公表した。

法制審の見直し議論のポイントについて、新聞・テレビは①いったん制度を利用したら利用者の判断能力が回復するまで止められず、事実上の終身契約になっている②事実上、後見人を途中で解任できない、③認知症の人の意思が十分に反映されない場合がある、などの点を指摘している。

これらが大事な問題なのは確かだが、新聞・テレビの報道は、常に表面的で、たいていが法務省をはじめとする当局の発表をそのまま流しているのが実態である。

新聞・テレビが報じず、今回の中間試案でもまったく触れられていないが、この制度が抱える最も重大かつ深刻な問題は、苛烈な人権侵害を誘発していることだ。

これについては、すでに国連の「障害者の権利に関する委員会」が2022年10月に、日本の後見制度が差別的で認知症などの障害を持つ人の人権を侵害していると警告し、日本政府に対し「全ての差別的な法規定及び政策」の廃止を勧告している。

法務省の法制審議会は、この勧告を受けて、やむを得ず見直しに着手したのだ。 

新聞・テレビが興味を持たず、報道もしないので国民の多くは知らされていないが、この制度を利用したばかりに民主主義国家にあるまじき凄まじい人権侵害を受け、苦しんでいる人が大勢いるのは事実である。

国と自治体、法曹界を敵に回すことになる

元高裁判事の森脇淳一弁護士の意見書(一部)

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