タブレットの所有者とされた崔順実は検察の取り調べに対し、「自分はタブレットを持ったことなど一度もないし、使い方も知らない」と一貫して主張していたうえに、検察も裁判所も、問題のタブレットPCが崔順実の持ち物であったと一度も証明していないからだ。それなのに裁判所は、被告の崔順実に懲役20年、朴槿惠には24年の実刑判決を下している。
異常判決はこれに留まらなかった。捏造報道と指摘された孫石煕らJTBC側が、メディアウォッチの邉らを名誉毀損で告訴。ここでも裁判所は、証拠提出を求める被告側の請求を退け、邉熙宰に2年の実刑を言い渡している。あまつさえ裁判長は、「タブレットの所有者が誰かということは、名誉毀損の可否には関係ない」とまで言い放ったという。
裁判所のあまりに横暴かつ独善的な判決を可能にしているのは、「目的(=イデオロギー)のためには事実はいかようにも変換し得る」という左翼全体主義が韓国の司法界を席巻しているからに他ならない。
邉に有罪判決を下した朴珠英裁判長は、裁判所内の左翼判事のサークルである「ウリ法研究会」の出身だった。1988年にこの会の立ち上げを主導した朴時煥元最高裁判事は、「この会の狙いは、メンバーらの実力向上ではなく、問題意識を持つメンバーらが、裁判や司法運営に参加し、裁判所を理想的方向へと変化させることだ」と内部文書に書いたことがある。
彼の言う「理想的方向」とは、その日頃の言動からして間違いなく「反日反米・従北親中」の方向であり、「全体主義を強要するもの」として若手判事から批判されたこともある(『東亜日報』社説2010年1月29日)。
収賄罪でも起訴された朴槿惠は、1ウォンすらもらった事実がないにもかかわらず、200億ウォンの罰金を宣告された。どう考えても、現在の韓国は法治国家ではない。
北朝鮮の教科書で教育
司法界だけではない。左翼全体主義の汚染は30年以上前から、韓国社会のあらゆる方面に忍び寄っていた。1987年の民主化宣言以降、韓国でもようやく共産主義が解禁になった。マルクスを読むのも違法でなくなり、言論界、思想界、教育界、労働界……あらゆる分野に左翼思想が浸透していったが、その中心にいたのが、北朝鮮の統治原理である主体思想の洗礼を受けた主体思想派(主思派)だった。
その主思派が寄生した最大牙城こそが、民主労総(全国民主労働組合総連盟)と呼ばれる左派系労働組合のナショナルセンターだった。
現在、韓国では労組の組織率は10%ほどだが、その勢力を二分するのが保守系の韓国労総と革新系の民主労総である。民主労総の勢力はおよそ70万人。大企業でいえば、たとえば現代自動車労組がほぼ丸ごと民主労総にジャックされた。
この70万人が国民を洗脳したうえで扇動し、現在の韓国を牛耳っていると言っても過言でない。特に浸透が著しいのがメディア業界で、民主労総傘下の言論労組が韓国の言論・思想界を支配している。既存のメディアでは、言論労組の意に沿わない論調はすべて排除されるのが現状だ。88年の結成以来、言論労組が度重なるストライキを繰り返して新聞、テレビ、雑誌と、あらゆるメディアを席巻してしまったからだ。
また教育界にあっては、これも民主労総傘下にある全教組が89年に創立され、当初は非合法組合であったものの、金大中時代の99年に合法化された。「祖国統一を早める指導者を育てる」と結成の宣言文に堂々と謳った全教組の主導権を握っていたのも、当然のことながら主思派である。主思派の言う「祖国」とは、無論のこと韓国ではなく、レッドコリアのことだ。
反日反米教育を奨励する全教組は、慰安婦支援団体の水曜デモに生徒を連れていったり、狂牛病騒ぎが起きれば反米キャンドルデモに行かせたりと、学童たちの洗脳に余念がない。さらには、俄には信じ難い話だが、全教組の教師のなかには北朝鮮の教科書をそのまま教室で生徒たちに教える場合さえあるという。