筆者は「前大統領の朴槿恵弾劾が行われていた当時、弾劾のきっかけとなったJTBC(中央日報系のテレビ放送局)が報道したタブレットPCは、巷間言われていた民間人である崔順実(チェ·ソウォン)が所有していたものではなく、朴槿恵政権の公務員であるキム·ハンス行政官のもの」という主張をしたことで1年間の投獄生活の末に2019年5月17日控訴審中に保釈で釈放された。 釈放後、筆者は『月刊Hanada』(2019 年 10月号)に獄中手記を寄稿した。
この獄中手記の最後の文章で筆者は、タブレットPCは捏造されたものであり、「文在寅退陣集会に数万人の大韓民国国民が太極旗を持って出てくる」と政権交代を確信した。 しかし、現実はそれとは正反対だった。
現在、韓国の大統領は文在寅政権当時、ソウル中央地検長、検察総長という要職を務め朴槿恵や李明博をはじめ、筆者を含む200人余りの保守人士を無差別に拘束した尹錫悦だ。しかも、あろうことか保守政党である「国民の力」が尹錫悦を自党に招き入れ「保守派の大統領」として当選させた。
文在寅の唯一の忠臣は尹錫悦だけ
多くの保守派を苦しめてきた文在寅政権の検察総長を、保守陣営の大統領候補に迎え入れるということは、全く辻褄が合わない。 そのため保守陣営では「尹錫悦だけが文在寅、李在明など左派人士を拘束させることができる」という大義名分を前面に掲げた。
しかし、尹錫悦の夫人、金建希は大統領選挙の過程で、「ソウルの声」という左派メディアの李明洙記者との電話インタビューで、「覚えていろ。 文在寅の唯一の忠臣は尹錫悦だけ」と断言したことがある。 実際、昨年の大統領選挙で文在寅は、自党の候補者、李在明を全く助けず、実質的に尹錫悦の当選に貢献した。 李在明は文在寅の誕生日に手紙を送ったが、文在寅はこの手紙さえ政治的中立を守るとして送り返した。