この資料のタイトルは、「困難な問題を抱える女性への支援の将来イメージ」となっている。このイメージ図に描かれた「困難な問題を抱える女性」をたらい回しにする仕組みは、これまで赤いネットワークが作り上げて来たビジネスモデルをベースとしていると言って良い。生活保護費支給申請のあっせん・仲介については、この図の「アフター支援」に該当する。
この仕組みの対象を増やすためには、人々の人間関係を破壊し、孤独・孤立状態に持っていくことが非常に重要である。家族はできる限り解体し、「ひとり親世帯」を増やす。親子関係も断絶させる。新宿の歌舞伎町周辺には、家庭に居場所のなくなった家出少女らがごった返している状況こそ、赤いネットワークが理想とする社会である。
孤独・孤立状態に陥った彼女らに、DV・性暴力などの被害に遭ったと言わせれば、「困難な女性」として、上図に書かれたベルトコンベヤーに乗せることができる。そんな仕組みを拡大しようと蠢く団体が集まっているのが、内閣官房の「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」だ。
赤いネットワークと北朝鮮の家族法
会員を見ると、社会的包摂サポートセンター、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、シェルターネット、BONDプロジェクト、若草プロジェクト、フローレンス、ぱっぷす、抱樸(Colabo理事である奥田知志が代表)など赤いネットワークの関係者が勢ぞろいしている。そして、内閣官房孤独・孤立対策担当室の政策参与として村木厚子元厚労事務次官が関与する――。
ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)を熱狂的に支持したドイツ国民を分析したフロム著『自由からの逃走』には、次のような一節がある。
《個人に安定感を与えていた第一次的な絆がひとたび断ち切られるや否や、無力感と孤独感との堪えがたい状態に打ち克つために二つの道が開かれる。一つの道によって、彼は『積極的自由』へと進むことができる。
もう一つの道は、自由を捨てさせる。そして個人的自我と世界との間に生じた分裂を消滅させることによって、彼の孤独感に打ち克とうと努力する。この道は逃避にすぎない。このメカニズムは、服従と支配への努力という形で、はっきりと表れる》
いまの日本は、フロムが描写したナチス台頭前夜と同様の状況になりつつある――。
本年5月5日、「Hanadaプラス」に寄稿した『「共同親権」を潰す赤いネットワークと北朝鮮の家族法』のなかでも紹介した『朝鮮民主主義人民共和国の家族法』と北朝鮮の社会主義憲法を読めば、赤いネットワークの主張する政策が北朝鮮の家族法制度と酷似していることがわかる。
彼らが北朝鮮と同様の全体主義国家を作り上げるために、まず狙うのは「家族の解体」だ。なぜなら、全体主義国家の実現を阻む最大の障害は「家族への愛情」だからである。
人々のなかに「夫婦の絆」や「親子の絆」が残っていたまま国家が人々を支配しようとすれば、多くの人々は、その絆を守るため、相手が国家であろうと全力で戦うだろう。
そんな厄介なことにならないよう、赤いネットワークは「一次的な絆」のなかでも最も強力な「家族の絆」の破壊から着手したのである。