日本キリスト教婦人矯風会と「慰安婦問題」
日本基督教団の牧師である阿蘇の活動と赤いネットワークとの関係で特筆すべき点は、百人町にある日本キリスト教婦人矯風会(矯風会)との関係である。
阿蘇は、前述の『現場からの道』に《百人町教会は、固有の会堂を、当時から35年を経た今日に至るまで保有していない。会堂を持たずに大久保にある日本キリスト教婦人矯風会の女子寮の食堂を日曜だけ借りて礼拝をし、今日に至っている》と書いている。
矯風会は、拙著『実子誘拐ビジネスの闇』(飛鳥新社刊)でもとり上げたが、1886年に公娼制度廃止などを目的に創設された団体でDVシェルター「ステップハウス」などを運営している。
『祖国と青年』の2016年8月号の記事によると、
《矯風会は「慰安婦問題」の火付け役を自認しており、昭和六十三年頃から慰安婦問題に関わるようになったという。さらに平成十四年から二十三年までステップハウス所長を務めていた東海林路得子は、従軍慰安婦問題を取り上げた女性国際戦犯法廷を主催した「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの共同代表も務めた人物だ。
元慰安婦の韓国人女性と韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)などによる日本政府に対する抗議集会「水曜デモ」も支援している。親北組織である挺対協と協力関係にあること自体に矯風会のいかがわしさが滲み出ている》と記載されている。
矯風会ステップハウス編『女性への暴力防止・法整備のための国連ハンドブック』の解説を書いた角田由紀子は、慰安婦捏造記事裁判において記事を書いた朝日新聞記者の植村隆の弁護団副団長として、 昨年11月29日の「Colaboとその代表仁藤夢乃に対する深刻な妨害に関する提訴記者会見」弁護団の一員として、また日本の若者が慰安婦問題を学ぶ資金を提供する「希望のたね基金」の顧問として広く知られている。
なお、基金設立の会見には挺対協代表の尹美香も参加している。尹美香は1990年に韓国キリスト教長老会幹事に就任した人物で、2020年4月、韓国の国会議員として当選。同年9月、元慰安婦施設への寄付金横領など8つの罪で起訴、本年2月、韓国地裁は横領を認定し有罪判決が下された。
また、韓国最高裁により「反国家団体(=親北)である在日韓国民主統一連合から金品を受け取った」として北朝鮮のスパイ活動関与により有罪判決が下された夫の金三石とともに、慰安婦休養施設で脱北者に「北に戻れ」と懐柔している。
赤いネットワークと困難女性支援法
このように西早稲田にある日本基督教団・WAMと百人町にある矯風会は関係が深い。地理的にも、ともに東京都新宿区にあり1.5キロほどしか離れていない。
矯風会は、NPO法人「全国女性シェルターネット」(以下、シェルターネット)とも非常に緊密な関係にある。その証拠として、シェルターネットが、2006年まで百人町にある矯風会第二会館に法人の住所を置いていたことや、シェルターネットの元代表の大津恵子が矯風会の元理事であったことなどが挙げられる。
シェルターネットと赤石千衣子も非常に関係が深い。
シェルターネットが矯風会第二会館から移転した先の住所と、赤石が副代表を勤めていた「反貧困ネットワーク」(宇都宮健児元日弁連会長が代表)の住所が同じであり、昨年9月28日に開催された「DVと子ども」と題するシンポジウムでは、赤石千衣子が参加し、シェルターネット代表の北仲千里が司会をしている。
シェルターネットがさらに移転した先の住所は、お茶の水女子大学名誉教授の戒能民江が代表をつとめる「性暴力禁止法をつくろうネットワーク」の住所と同じである。
戒能民江は、厚生労働省子ども家庭局が主催する「困難な問題を抱える女性のあり方に関する検討会」(以下「検討会」)の委員を、仁藤夢乃、近藤恵子(シェルターネット元代表)、大谷恭子(若草プロジェクト代表)、村木太郎(若草プロジェクト理事、村木厚子元厚生労働事務次官の夫で元厚生労働官僚)などとともにつとめていた。
その検討会第9回に、戒能・大谷・村木らが提出した資料こそ、冒頭の「仁藤が誰から生活保護制度の指導を受けたのか」との質問の解答となっている。