日本の活動が世界を動かした
山田宏自民党参議院議員(Twitterより)
まずは資料を整え、不当逮捕の中身や裁判の進行について纏めて筆者が議員会館を回り始めたのが昨年9月に入ってからだった。逮捕から実に半年以上も経ってしまっていた。ムンヘバヤルに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
しかし、そこからの議連の動きは迅速だった。中でも議連幹事長の山田宏参議院議員が特に積極的に動いてくださった。
山田宏議員に説明に行ったおりに筆者からは「議連として本件に対しての声明文を出してほしい」旨をお願いした。そして「釈放要求」や「非難声明」までは難しいことは重々承知しているので、「議連として本件を注視している」というラインなら可能ではないかと相談。
山田議員からは「そのようなもので意味があるのか」とも問われたが、筆者は大きな意味があるのでぜひお願いしたいと答えた。なぜなら南モンゴルを応援する国会議員レベルのグループは日本にしか存在しておらず、現にこのムンヘバヤルの件に関しては世界的に見ても政治レベルではどこにもまだ動きがない以上、例えどんな文言であってもまずは日本において声明文という形あるもので先鞭をつけてもらうことに意義があると考えたからだ。
山田議員と面会した翌週の9月30日には、役員会に求められて出席。ムンヘバヤルの事件について、出席したモンゴル人活動家が説明に当たり、質疑も活発に行われた。その質疑応答の中で、ある議連幹事の衆議院議員より「それで、私たち(議連)への具体的なリクエストは何ですか?」との質問がなされたので、資料を配布して声明文を出してもらいたい旨のお願いを行った。
議連会長の高市早苗衆議院議員が閣内にあるため、その日の議連役員会に出席していなかったこともあり、役員会では結論にまで至らなかったものの、そのあと山田宏議員が声明文を出す方向での取りまとめに動いてくださった。そして、10月26日に開かれた議連総会で議連声明文として採択されたのだ。
議連の声明文には次のように書かれている。
「ムンへバヤル氏の活動は、我々『南モンゴルを支援する議員連盟』の設立趣旨、活動内容とも思いを一にするものである」
「当該裁判が、特に他国から何らの圧力等を受けることなく、モンゴル国の法令に基づいて公正・公平に進められることを期待し、今後、当該裁判の進捗状況について重大な関心を持って注視していくこととする」
「他国から何らの圧力」が中国のことを差しているのは言うまでもない。
中国に関する問題では、往々にして欧米各国が先に動いて日本が追随するケースが多い。
ところが、全く報じられないが、このムンヘバヤルの件に関しては、世界で最初に動いたのが日本の国会議員連盟だったのだ。これは特筆すべきことで、議連会長の高市早苗衆議院議員、事態を重視して果敢に決断して動いてくださった山田宏議連幹事長には特に深く感謝をしている。
そして日本の国会議員が動いたということが、世界を動かしていくことにつながっていった。