日本が誇る大手食品メーカーに激震!ミツカン「種馬事件」①実子誘拐の地獄|西牟田靖

日本が誇る大手食品メーカーに激震!ミツカン「種馬事件」①実子誘拐の地獄|西牟田靖

「お前! 何者だと思ってるんだ、お前!! この場でサインをしなければ、片道切符で日本の配送センターに飛ばす」「中埜家に日本国憲法は関係ない」。日本が誇る大手食品メーカーが、婿に対してとんでもない人権侵害を行っていた――。2022年8月号に掲載され、大反響を呼んだ記事を特別無料公開!


家族3人で会った最後の日

大輔さんを最も苦しめたのは、仮処分に勝訴した翌月の2016年4月、聖子さんが離婚調停(その後の離婚訴訟を含む)を起こしてきたことだ。

聖子さんは「裁判で偽装別居の話は死んでも言わないでね」と言っていた。それを忠実に守っていた大輔さんは、離婚訴訟でどんどん不利になっていく……。

「両親に怯えていた彼女は裁判で虚偽の主張をし、私には『反論しないでね』と要求。この頃、ミツカンの顧問弁護士から『離婚調停中であるため、息子の写真を見せる予定はない。息子に会わせる予定もない』との妻名義の文面も届きました。義父母の圧力によるもので彼女の本心ではないことは頭ではわかっていましたが、私への要求ばかりで、息子に一切会わせないし、どうなってるのっていう話になって……二枚舌ではないかと。だんだん感情が抑えられなくなっていったんです」

2016年8月19日、大輔さんの誕生日に聖子さんは、
「仲良し家族 大好き」
というメッセージとともに、家族3人の写真を【Secret Family】に投稿した。だが、この投稿を最後に音信不通になった。

「彼女はミツカンの代表取締役。家族を引き離して敗訴した側の代表者でありながら、裏では偽装別居で家族を守っているという矛盾した立ち位置。両親と息子と会社を取るか、それとも私を取るかですから、もとより勝ち目は薄かった。彼女は次第に、破壊行為を繰り返す和英氏・美和氏を擁護する側へと落ちていったんです」

2019年6月、最高裁への上告が棄却され、大輔さんは離婚裁判で敗訴した。

大輔さんは、実は2016年1月18日から23日までの間、秘かにロンドンの自宅を訪れて家族3人の時間を過ごしている。当時の日記には、3カ月ぶりに再会した1歳半の息子が満面の笑みでトコトコと駆け寄ってきてくれたことに感動した様子が記されている。

英国での最後の日、大輔さんがヒースロー国際空港行きのタクシーに乗り込む直前に、聖子さんは涙を流しながら言った。
「会えるのはこれが最後になるかも。少なくともあと1年ぐらいは……」

この日が、家族3人で会った最後の日となった。

マスコミの取材を受け解雇

2017年3月、大阪での自宅待機が1年を過ぎる頃、突如として配属先が東京支社と決まり、大輔さんは再び働き始めた。労働組合を通じた団体交渉や企業倫理室への内部通報、さらには取締役を含む幹部14名全員への直訴といった手段によって問題の解決を目指すも、効果はなかった。

そんななか、情報をキャッチした『週刊文春』が大輔さんに接近、取材を依頼してきた。

彼は悩んだ末に取材を受け、2019年5月、「ミツカン『酸っぱいお家騒動』」と題する記事が掲載された。ついで、テレビのワイドショーの取材が相次いだ。しかし、それを重く見たミツカンは、同年8月、大輔さんを即日解雇してしまったのだ。

「フジテレビの報道は公平な視点とは言えず、むしろミツカンに大きく肩入れした内容でした。ミツカンはフジテレビのスポンサーですから、偏向するのもある意味、仕方のないことかもしれません……。マスコミの取材を受けたのは、ミツカンの反社会的、非人道的な行為を内部に対して4回も通報したにもかかわらず、すべて無視されたからです。解雇が不当であることは明らかであり、私はいまもミツカンを相手取り係争中です」

プロジェクトチームを作ってまで選び、そして迎えた大輔さんに対し、和英氏・美和氏はなぜここまで酷い仕打ちをしたのだろうか。彼らがした行為は、大輔さんや聖子さんへの人権侵害だけではない。孫である男の子から実の親を奪うという児童虐待でもあるのだ――。

(初出:月刊『Hanada』2022年8月号)

関連する投稿


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

9月27日、自民党新総裁に石破茂元幹事長が選出された。決選投票で高市早苗氏はなぜ逆転されたのか。小泉進次郎氏はなぜ党員票で「惨敗」したのか。石破新総裁〝誕生〟の舞台裏から、今後の展望までを記す。


青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

8月23日、青山繁晴さんは総裁選に向けた記者会見を行った。最初に立候補を表明した小林鷹之さんに次ぐ2番目の表明だったが、想定外のことが起きた。NHKなど主要メディアのいくつかが、立候補表明者として青山さんを扱わなかったのである――。(サムネイルは「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」より)


最新の投稿


【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。