中国の脅威に対しては日米同盟の緊密化で対処すべきだが、それだけでは不充分だ。中国に搦めとられないための経済安全保障戦略を隙間なく実行すべきである。
わが国は現在も中国に国土売却を続けている。エネルギーの源である電力網にさえ中国資本の参加を許している。目先の小さな利潤確保のために対中投資を続けているわが国は、経済の急所を握らせるような活動を続ければ、中国の顔色を窺わなければ生きていけない属国になる。
わが国は被保護国でも属国でもない。明治維新以降、昭和の敗戦まで先達の歩んだ道には、穏やかながら一朝有事に雄々しく立ち上がる立派な日本人の群像があった。先達が築き、私たちに託した歴史には、日本人の深い力が内在している。その力を今こそ発揮し、世界に貢献すべき1年である。(2023.01.16 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
国家基本問題研究所理事長。ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、日本テレビ・ニュースキャスター等を経て、フリー・ジャーナリストとして活躍。『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、『日本の危機』(新潮文庫)を軸とする言論活動で菊池寛賞を受賞。2007年に国家基本問題研究所(国基研)を設立し理事長に就任。2010年、正論大賞を受賞。著書に『何があっても大丈夫』『日本の未来』『一刀両断』『問答無用』(新潮社)『論戦』シリーズ(ダイヤモンド社)『チベット 自由への闘い』(PHP新書)『朝日リスク』(共著・産経新聞出版)など多数。