前途多難な岸田政権と尹錫悦新政権
岸田政権の支持率低下が止まらない。朝日新聞によると(9月10・11日に実施)、岸田内閣の支持率は、支持41%、不支持47%。岸田内閣支持の傾向を示している朝日の調査結果だから衝撃的だ。ちなみに毎日新聞は、8月中旬に支持36%、不支持54%と報じており、さらに不支持のほうが大きい。
率直に言って、日本政治はお先真っ暗だ。経済は成長せず、一人当たり国内総生産は韓国に逆転されて久しい。岸田首相に代わる有力な政治家も見当たらない。政治が混乱すれば、安倍政権以前のように1、2年で首相が交代する不安定な国家に戻り、国際社会で尊敬されなくなる。
岸田政権は自分のことで精いっぱいなので、日韓関係改善を推進する余裕がないが、韓国の尹錫悦新政権も前途多難だ。支持率が相変わらず低迷している。
ところが妙なことに、政権打倒のデモが起きない。大統領制だから5年は続くとはいえ、30%を切る支持率ならば政権打倒運動が起きてもおかしくないはずだが、韓国内は静かなものだ。
どうやら、文在寅政権への失望と反省が消えておらず、国民の間に混乱を嫌う意識が強くあるようだ。
文在寅政権を支持した左翼勢力もおとなしい。その背景には、大統領選を争った李在明氏への不信がある。
李在明氏は大統領落選後、国会議員に当選したが、多くの国民はこれを「逮捕逃れ」と見ている。城南市長時代の都市開発で多額の資金を動かした疑惑があり、何度となく報じられてきた。国民の多くは、この事件に尹政権がメスを入れると期待していたが、捜査妨害のために野党の代表になってしまったから、すっかり白けている。
もし李氏が逮捕されれば、他の野党政治家も起訴される可能性がある。多くの野党政治家は戦々恐々だろう。が、一方で、野党執行部から外された文在寅系列の政治家たちは、李在明捜査を期待している。
李氏が失墜すれば、再び文在寅系列が指導権を握れる。いますぐでなくとも、5年後の大統領選挙までに李在明氏が影響力を失い、政界から姿を消してほしいのだ。
韓国の政局は、年末にかけて百鬼夜行の駆け引きが横行するだろう。いまは混乱の前の静けさという状況と見るべきだ。
「文在寅の犯罪」を明らかにせよ!
日韓両国の新政権がこのザマでは、慰安婦問題と元徴用工問題は進展せず、関係もなかなか改善しないだろう。
尹政権は、“反日”文在寅の負の遺産に悩まされている。当欄で何度も指摘したように、「文在寅の犯罪」を明らかにしないと事態は好転しない。まずは元徴用工裁判の最高裁の“反日”判決が文在寅の司法介入であった事実を、尹政権は明らかにすべきだ。
また、自衛隊哨戒機へのレーダー照射も、文在寅大統領か青瓦台高官の指示なしには行えない。青瓦台の指示があった事実を明らかにすべきだろう。
単なる謝罪で幕引きを図る“田舎芝居”をすれば、再び同じような事件が起きる。尹政権には責任はないのだから、「文在寅の犯罪」解明を要求してほしい。
立憲民主党の1回生議員らが8月末に訪韓し、左派野党「共に民主党」議員らと交流した。新聞は「若手政治家の議員外交」と報じたが、“ど素人”の議員外交は困る。彼らは日韓関係悪化の原因は「共に民主党」にあると指摘したのか。「文在寅の責任を明らかにせよ」と迫ってほしかった。