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朝日はなぜ英語版で今も慰安婦の嘘を発信し続けるのか  ケント・ギルバート×山岡鉄秀

朝日新聞英語版の慰安婦に関する記事には印象操作がある――。この印象操作中止を求めるべく、集めた署名は1万6千筆あまり。この署名をケントさんと山岡さんが7月6日、朝日新聞に提出し、印象操作中止の申し入れと記者会見を行います。それに合わせ、『月刊Hanada2018年5月号』掲載のお2人の対談を公開いたします。朝日の慰安婦報道の海外への影響、英語表現の解説、朝日新聞訴訟の結果、そして「なぜか日本人に冷たい」朝日新聞の実態に迫ります。

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■読者をバカにする朝日新聞

ケント これまで朝日新聞は、ごまかしにごまかしを重ね、印象操作を行ってきました。朝日は読者をバカにしているんじゃないですか。

山岡 おっしゃるとおりです。読者に幅広い見方を提供しようというつもりがない。朝日新聞だけ読んでいる読者は、「朝日新聞の世界」の住人になってしまうのではないでしょうか。 「朝日新聞の慰安婦に関する報道で誤った事実が世界に広まり名誉を傷つけられた」などとして、在米日本人を含む62人が朝日新聞を訴えていた訴訟についてもそうです。「二審も本社勝訴判決」と8段の大きな記事で報じ、朝日新聞社広報部のツイッターアカウントは、判決を受けて「弊社勝訴で確定しました」などと勝ち誇っていましたが、彼らも自分たちの思っている世界だけで自己完結しているように思います。

ケント たしかに、2月8日に東京高裁が判決を言い渡した裁判自体は原告が敗訴しました。しかし判決文をつぶさに読んでみれば、朝日新聞が「弊社勝訴」と勝ち誇れるような内容ではありません。

山岡 まず、慰安婦報道によって生じた在米日本人に対する地元住民からの偏見や、いじめに遭った子供たちがいる、困っているお母さん方がいるという部分については、裁判所は事実として認定し、朝日新聞は一切反論していない。つまり、事実だと受け止めていると言っていい。しかし判決では、朝日新聞の慰安婦報道は70年前の軍や政府を批判するものだから、現在の在米日本人の名誉が損なわれたとは言えない、としています。

また、仮に原告である在米日本人たちに対する嫌がらせなどをした人が、朝日新聞の記事によって日本人に対する否定的な評価を持ったとしても、それ以外に様々な情報に接し、自身の考え方に照らして行動を決めるものだから、朝日の記事と原告が被った被害の相当因果関係を認めることはできない、としています。

ケント おかしな判決ですね。

山岡 朝日の記事、なかでも90年代の慰安婦キャンペーン記事が燃え上がって海外に広まり、2014年に朝日新聞が吉田清治記事を取り消したあとも余波が広がり続けていることはたしかであるにもかかわらず、「法的に因果関係を認めるまでにはいかない」と。しかし一審では「なんらの影響も与えていないということはできない」、控訴審では「主要な役割を果たしていると認めるには十分ではない」とし、影響そのものを全否定しているわけではありません。

■朝日には「製造者責任」はないのか

ケント 分野は違いますが、たとえばアメリカの製造物責任にかかるPL法で言えば、自分たちの作った製品が様々な人の手を介して第三者に渡り、最終的に使用者が何らかの被害を受けたとなれば、製造者は責任を持たなければなりません。しかも、責任はなかったと主張する場合には、製造者の側がそれを立証しなければならない。日本の場合とは全く逆ですね。消費者の側が因果関係を立証しなければならないとなれば、専門知識と莫大な経費が必要で、日本の消費者は守られません。

今回の朝日新聞の訴訟で言えば、主要な原因でないとしても、わずかでも名誉が毀損された可能性が否定できないのであれば、一部であっても朝日の責任を認め、朝日に対して有罪判決を下すべきです。

山岡 被害者が存在することはたしかなのですから、少なくとも朝日の広報が〈これで慰安婦報道を巡り弊社を訴えた裁判がすべて、弊社の勝訴で終結したことになります〉と勝ち誇るようなものではありません。

海外に影響を及ぼしたこともたしかで、日本政府は国連で数回にわたって、吉田清治証言を朝日新聞が広く報じたことで海外に誤解が広がり、各地に慰安婦像が建てられた原因の一つになっていると指摘しています。また、2007年に米下院で慰安婦非難決議が可決されましたが、06年に議会に提出された議会報告書では、はっきりと「朝日新聞がこの件に関してキャンペーンを張った」と書かれているんです。

ケント 大事なポイントですよね。せっかくなので触れておくと、この米下院の慰安婦非難決議案は議員同士の駆け引きで成立したものです。中国系の抗日連合会からカネをもらっていたマイク・ホンダ議員が何としてもこれを通したくて、「協力してくれたら別の決議案に賛成する」と取引したものなのです。

しかもこの決議は本来、IWG報告を受けて行われるはずでした。IWG報告とは、ナチスドイツおよび旧日本軍の戦争犯罪に関連する機密文書を機密解除して再調査したアメリカ合衆国政府の省庁間作業班がまとめた報告書のことですが、結果的にIWGは「慰安婦を軍が強制連行などして性奴隷とした証拠はなかった」とするものです。調査員の一人は「抗日連合が期待していた証拠は出てきませんでした。ごめんなさい」なんて書いているのですから、この報告書の内容をちゃんと読ませて議会にかければ、決議は通らなかったかもしれない。その程度のものなのです。

■朝日はいまも「英語で」嘘を書き続けている

山岡 朝日新聞に話を戻すと、吉田清治記事を取り消したあとも、慰安婦問題に対する「誤解」を特に海外にふりまいています。

朝日新聞の英字記事では、慰安婦に関する報道で、〈forced to provide sex〉、つまり「セックスを強制された」という定型文を必ず入れてきます。もうほとんどコピペかフォーマットのようなもので、慰安婦(comfort women)という単語のあとには〈forced to provide sex〉という説明が必ずつくのです。これはケントさんのようなネイティブスピーカーからすると、「物理的な強制によって性行為を余儀なくされた」というイメージを与える表現なんですよね。

ケント そうです。「性行為を強制された」というイメージで、この表現では女性側に断る余地はない。

山岡 朝日新聞の英字記事はたしかに〈sex slave〉、つまり「性奴隷」という表現は使わなくなってきていますが、本人の意思を無視して性行為を強制されるという表現は、限りなく〈sex slave〉に近いものになる。これを印象操作と言わずして何というのでしょうか。

裁判でも〈forced to provide sex〉という表現について、「仮に〈sex slave〉という言葉を使っていなくても、それを想起させる表現を使うのはおかしい」と指摘しました。これに対して朝日新聞側は、「これは強制連行や性奴隷だと明言するものではない」と主張しているのですが、では一体、何を表現しているのか。「無理やり性交渉を行った、としているけれど『強姦』とは言っていない」というようなもので、極めておかしな表現です。朝日新聞はどういう意図で〈forced to provide sex〉という表現を使い続けるのか、その説明責任を果たしていません。

ケント 使っている単語を文字どおりに取ってくれというなら、そうしましょう。〈forced to provide sex〉という表現に従えば、女性の側に断る権利はない。しかし、慰安婦になった女性たちには客を断る権利はあった。多額の報酬も受けていた。

朝日の英字記事では、〈forced to provide sex〉のあとに、〈to Imperial Japanese soldiers〉、つまり「大日本帝国の兵士に」と続きますが、旧日本軍や軍の兵士が女性の権利を奪って「性行為を強要」したのではない。仮に一定の自由を奪われていたとしても、直接女性たちの権利を抑圧した主体は軍ではなく、女性たちを管理していた業者のはずです。つまり、朝日がいくら弁解しても、この表現は事実と異なることを報じていることに変わりはない。

■朝日にとっては事実より主張

山岡 事実と違う表現を使い続け、指摘されても絶対に変えないとなれば、そういう印象を与えると分かっていてあえて書いていると見做すほかはないでしょう。

ケント 少なくとも、「ジャーナリズム」ではありませんね。活動家による機関紙、つまり「赤旗」と一緒です。ジャーナリズムが政治思想を持ってはいけないというわけではありませんが、自分の目的のために事実を捻じ曲げてはいけない。

私は日本のメディアに興味を持つようになって本当に信じられない思いがしましたが、朝日新聞は嘘の記事を書いて30年以上も撤回しなかった。そもそも、朝日の記者たちが吉田清治の話を本気で信じていたとは思えないんですよ。

現在の沖縄タイムスや琉球新報などを見ても、彼らにとっては事実であるかどうかよりも自分の主張が先に立っています。これはジャーナリストではなく、政治活動家。日本のメディアは「言論の自由」を盾に、何でも報じてしまう。しかし、その結果生じた影響については責任を取らなければならない。報じておいてそこから逃げるのは無責任です。〈forced to provide sex〉という表現は、第一に事実ではないという点がありますが、朝日がどうしてもその表現を使うというのであれば、朝日はそれによって生じた責任を取らなければならないはずです。

■慰安婦=性奴隷なのか

──「性奴隷」などの表現の問題でいうと、フェミニズムの研究者などを中心に「性を売る仕事に従事させられ、少しでも自由を制限された女性はすべて『性奴隷』」 「だから『慰安婦=性奴隷』という表現はおかしくない」という意見が出てきています。

山岡 たしかに、「白色奴隷」(19世紀のアメリカで、強制的に売春に従事させられるなど性的虐待を受けた女性への奴隷制を指す概念)のように、「本人が望まないのにそうせざるを得なかった」ケースを全て奴隷と見做すという概念はあります。慰安婦となった女性にしても、当時、公娼制度が合法だったという背景のなかで、生活苦から親が娘をブローカーに売ったケースはあった。娘は内心、嫌ではあったけれど親のため、家のためと思って売られていったということもあったでしょう。

しかし、もともと朝日新聞が報じてきた「慰安婦」とは、「挺身隊という名で騙されて強制的に連行されて慰安婦にさせられた」 「軍隊が組織的に女性を連れ去った」というものであり、韓国側は「十代前半の少女まで連行された」 「慰安婦の多くは証拠隠滅のために殺された」とまで主張しているのです。「日本軍の性奴隷」といった場合にこのような誤った情報が付随してくることに対して、我々は「それは違う」と声をあげているわけで、「性奴隷という言葉は売春に従事している女性を語るうえで一般的な表現だ」という主張は議論のすり替えです。

──「性奴隷」という表現を最初に使ったのは朝日ではない、と朝日批判を批判する論調もあります。

ケント 国連に「性奴隷」という表現を持ち込み、慰安婦と結びつけたのは戸塚悦朗弁護士でしょう。朝日系列の英字新聞「ジャパンタイムズ」も、2016年1月18日の自社の記事で「性奴隷(sex slaves)との表現は妥当である」と正式に明記しています。

山岡 仮に、慰安婦に対して「性奴隷」という表現を朝日より先に使ったケースがあったとしても、大々的なキャンペーンを展開したのは誰だったのかという点で言えば、朝日の責任は揺らぎようがない。

言葉の定義を言うなら、挺身隊と慰安婦の混同は朝日が90年代に報じる以前からあったでしょう。しかし、明確に〈主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した〉(92年1月11日付)という記事を発信した朝日が免責されるはずもない。問題は、「起源」以上に「インパクト」なんです。データベースを検索して「『性奴隷』という表現を朝日よりも前に使っていた海外メディアや論文があった」からといって誰も覚えていない、あるいは誰も知らなければ影響があったとは言えない。「性奴隷=慰安婦」という印象を世に知らしめ、定着させた原因となった記事を書いた朝日新聞の責任が軽減されるわけではないでしょう。

ケント 〈sex slave〉でいうなら、本物の「性奴隷」は現在も存在します。日本でダンサーやホステスをするために来日して業者に雇われた外国人女性がパスポートを取り上げられ、渡航費用の借金返済を口実に売春を強要されるケースです。こういった事例は世界各地にあるし、被害に遭っている女性も大勢いる。これこそ「性奴隷」ですよ。

■朝日慰安婦キャンペーンの確かな影響

山岡 いまの話を聞いて思い出しました。米ジョージア州ブルックヘブンに慰安婦像が建てられたので視察に行きましたが、慰安婦像の隣りに自治体が建てた看板にはこんなふうに書いてある。 〈性的人身売買は、いま世界中で私たちの周りで起こっています。2014年、アトランタ都市圏は全米でも最も犯罪の多い地域であるとFBIに指定されました。この歴史的な記念碑に鑑みて、今日起こっている犯罪を如何に認識し、声をあげたらよいか、考えていきましょう〉

つまり、現在行われている女性の人身売買の「象徴」として、慰安婦像と記念碑を位置づけているというわけです。こんな偽善と欺瞞があるでしょうか。無茶苦茶な話ですよ。しかも、碑文にはこうあります。

〈これは1930年から45年に日本帝国陸軍に奴隷にされた、「慰安婦」と呼ばれる婦女子を称える記念碑です。慰安婦は推定数十万人の20世紀最大の人身売買の一つです。この暗黒の歴史は、1990年代に生存者が勇気をもって沈黙を破るまで、数十年間、隠されてきました。慰安婦はアジア太平洋の少なくとも13カ国の出身で、主に韓国です。ほとんどは第二次世界大戦中に殺されました。この碑はこれらの婦女子の記憶に捧げ、世界に蔓延する性暴力と人身売買を撲滅するためのものです。私たちは決して忘れません。真実を教えます〉

この碑文で特筆すべきところは、〈暗黒の歴史は、1990年代に生存者が勇気をもって沈黙を破るまで、数十年間、隠されてきました〉の一文です。〈勇気をもって沈黙を破〉った人物は、朝日新聞の植村隆記者が91年に「元慰安婦が初めて名乗り出た」との記事を書いた金学順であることは明らか。この碑文は、海外での慰安婦に関する認識において、朝日新聞の90年代のキャンペーンが大きな影響を及ぼしたことを、いみじくも裏付けています。

■なぜ韓国人は海外に慰安婦像を建てるのか

──国内的には、2014年の朝日新聞の吉田清治証言報道の取り消しでひとまず落ち着いた感がありますが、時を同じくして、海外の各地に慰安婦像が建設され始めています。

山岡 なぜ韓国人は、第三国に慰安婦像を建てるのか。日本人には理解しがたい心理ですが、在米韓国人の人たちは、周囲の人をどんどん巻き込み、いかに自分たちが被害者であるか、またいかに日本が加害者であるかを周囲に知らしめることで、自分たちの主張の正当性を担保しようとしているのです。いわば告げ口文化というのでしょうか。

ケント まさに「恨」の思想。常に誰かを批判していないと気が済まない。それが生き甲斐になるだけでなく、自身の正当な生き方であるというふうになっていくんです。事実であるかどうかは重要ではない。これが韓国の人たちの考え方です。なぜ日本人は35年間も朝鮮半島を統治していたのに、こういう韓国人の特性が理解できないのですか。

山岡 戦後植えつけられた罪悪感で、学んだことを水に流してしまったのでしょうか……。

ケント たしかに日本、特に政府の対応に問題はありました。慰安婦問題のそもそもの元凶は、日本政府がきちんと精査してから発表する手段を踏まず、いきなり謝罪したことにあります。日本の発想では、「ごめん」の一言で物事の半分くらいは終わってしまう。謝れば水に流してくれると思ったのでしょう。しかし、韓国の文化はそうではない。というか、日本以外の国はそうではない。たとえば、日本政府が元慰安婦に対して支払った「見舞金」についても、外国人には理解不能です。

山岡 でしょうね。「慰安婦は性奴隷ではないし、強制連行もしていない」と言いながら、謝罪してお金まで払っている。海外の感覚で見れば、相当悪いことをしたに違いないと考えるのが普通です。「やってもいないことに謝罪して、お金払うなんて殊勝ですね」なんて話にはなりません。

■日本を悪魔化する手法

ケント ニュージャージー州フォートリーに慰安婦被害者を追悼する慰安婦碑が建てられるというので、これを阻止すべく、私が市長宛に英語で文書を送りました。そのなかでも見舞金について説明しました。「お金は払ったが、これは見舞金であって賠償金ではない。日本特有のやり方であって、日本軍の強制連行は政府も誰も認めていません」と。

これで少し碑文の表現は柔らかくなったかもしれませんが、地元の日本人の反対の訴えは通らず、昨年末に設置決議が通り、今年5月に除幕式が行なわれました。

山岡 地元では、日本人のお母さんたちが中止要請を行っていたのですが、フォートリー市長は「実際問題、選挙民の多くに韓国人がいるから、その声を無視することはできない」と言っていました。

ケント 韓国人が告げ口文化からこういう運動に勤しんでいる一方、中国人は違います。慰安婦像建設運動にかかわっている抗日連合会は、中国共産党のプロパガンダ組織です。在米韓国人に頼らず、抗日連合会や他の中国人グループが前面に出たのが、サンフランシスコの慰安婦像建設のケースでした。アメリカで抗日連合会などの中華系団体は在米韓国人に近づき、彼らの精神構造を利用して慰安婦像を建て、日米の信頼を崩して離間に結び付けようとしている。これは、戦時プロパガンダと全く同じ手法です。

山岡 中国人は韓国人を信頼していないし、韓国人だけに任せておくと失敗するケースも出てくる。だから中国人団体が出張ってくる。ついには「慰安婦40万人説」を持ち出すようになりました。40万人の慰安婦のうち韓国人が20万人、残りの20万人は中国人だというわけです。アメリカで、アジア系移民の政治活動に関する実地調査を行いました。その結果、分かったのは、日系移民も、中国系も、韓国系も、はじめのうちは「同じアジア系移民として仲良くやりましょう」と言って、一定の連帯感を持っているように装う。しかし、地域住民における中韓系の合計割合が一定を超えると、一気に掌を返すのです。よかれと思って「みんなで一緒に考えましょう。和解はもうすぐ」なんて甘い幻想を抱いていると、手ひどい目に遭います。

ケント 実は私のもとに、カナダで起きている恐るべき実態が寄せられました。トロントに住む中韓系がしきりに反日運動を行い、州議会の中国系議員に働きかけ、慰安婦像を建てようとしているというのです。地元の方が手紙で知らせてくれたのですが、それにはこう書いてあります。

「日本政府のだらしなさに、海外の日系人は絶望的な思いです」

「今の状態を作り出したのは朝日新聞。朝日のおかげで海外に住む邦人は大迷惑です」

「ケントさん、中韓の陰謀阻止キャンペーンを行ってください」

山岡 悲痛な叫びですね。

■外務省の事なかれ主義

──山岡さんはオーストラリアで慰安婦像設置を阻止しましたが、山岡さんがかかわっていない他の地域では連戦連敗といった印象です。何が原因なのでしょうか。

山岡 いろいろとありますが、一つは英語での説明力と発信力。海外であれだけ誤った発信がなされているのに、英語で即反論することができない。そもそも、日本政府や外務省が発信する文書の英語表現も、まるで日本がとんでもないことをしでかしたような印象を抱かせるものになっていて、逆効果になっています。私自身、慰安婦問題について海外のジャーナリストの取材を複数回受けましたが、きちんとこちらの意見を述べれば、相手に良心があれば少なくともこちらの言い分を記事にはします。なかには、反論されて電話をガチャ切りしたジャーナリストもいましたが(笑)。

ケント 外務省に任せきりにしてきたのは大きな問題でしょう。これではダメ。彼らは事なかれ主義ですから。90年代から、慰安婦問題が日本にとって大きな問題になっていくことが分かっていただろうに、きちんと対処しなかった。問題が発覚した時に特別調査部隊を組織して、アメリカでも韓国でも調査させてきちんとした報告書を出すくらいの努力は必要でした。それなのに、調べもせずに「ごめんね」と言って済ませようというのはね。ご近所トラブルじゃないんだから、それで済むわけないでしょう。

また、日本では英語を言い訳にする人も多いのだけれど、これも怠慢です。日本人が英語が苦手なら、私のようなネイティブスピーカーを雇えばいいんです。これで英語力の面は解決ですよ。簡単な話です。

山岡 最近は外務省も少し変わってきて、「慰安婦制度は性奴隷ではない。強制連行はない」と自ら主張するようになりました。たしかにそれは進歩ではあるのだけれど、まだまだ舌足らずです。「性奴隷ではないと言うなら何なんですか」と言われると、説明できないんですから。慰安婦制度というものは何であったのか、きちんと日本政府が定義しておかなければ反論のしようがないのです。

■日本人に冷たい朝日新聞

──こうしている間も、次々に慰安婦像が海外に設置され、そこに住んでいる在外邦人や日系人たちは肩身の狭い思いをすることになる。これに対して、朝日はどう責任を取るのでしょうか。

ケント 朝日は責任なんて感じないでしょう。謝罪どころか、反省の気持ちなんて全くないんですから。こういう冷酷な新聞は許し難いね。

山岡 そう、朝日新聞は日本人に対して非常に冷酷なのです。韓国人の元慰安婦のおばあさんに対しては「かわいそうだ」 「寄り添わなければならない」と言うのに対し、今回の裁判でもそうだったように、現在、朝日の報道によって被害に遭っている人……つまり、いじめられている子供や、子供を持つ親に対しては、完全に沈黙。全く同情しないし、「彼らが不利益を被っているのは私たちのせいではない」と言い続けている。

「その英語表現がいまなお誤解を生んでいるので、止めてください」と指摘しても、絶対に直さない。「事実と違う情報で日本人が被害を被っています」と言っても、絶対に表現を変えないのですから。

ケント この冷酷さは気になりますよね。日本人に対する上から目線というレベルを飛び越えている。朝日の社是は「日本解体・日本打倒」ではないのですか。だから共通の目的を持つ中国や韓国を擁護する。それどころか、「日本叩き」の材料を中韓に与える。靖国参拝問題はその最たるものです。

山岡 朝日は「『日本打倒』という社是を正式に掲げたことはない」と言うでしょうが(笑)。しかし朝日新聞の日本人に対する冷酷さは、ちょっと異常です。

――朝日新聞は、「愛国心」と聞くと過剰な反応を見せます。かつて天声人語は、〈「日本人としての自覚」 「我が国を愛し発展に努める」といった記述に、ふと立ち止まる。食事中に砂粒をんだような感じがする〉(14年3月7日)とまで書きました。

山岡 朝日新聞は、日本人が愛国心を持つことに対する嫌悪感があるんですよ。これは一体、何なのか。

ケント WGIP(War Guilt Infor-mation Program)、つまり占領政策の影響が残っているのかな。「日本は悪いことをしたじゃないか」と言われたら、条件反射的に謝らなければならないと刷り込まれているのでしょう。

■国民の声で止めるしかない

山岡 いずれにしても、朝日による実害はいまも広がり続けています。これはもはや、国民の声によって止めるしかない。そこで、ケントさんと私は〈朝日新聞に英語版での慰安婦強制・性奴隷の印象操作の中止を求める署名〉活動を行っています。要望は3つ。

「ネイティブが読んだときに、事実と齟齬のある表現を使うのをやめてほしい」

「吉田証言が虚偽であり、記事を撤回した事実を改めて英文で告知してほしい」

「もし、前記表現が軍隊による物理的強制連行や性奴隷化を意味しないと主張するなら、具体的に、『性行為を強制された』とは何を意味するのか明確に説明してほしい」

現在、6千筆を超える署名が集まっていますが、少なくとも1万筆を集めて、然るべき時期に朝日新聞に申し入れたい(※5月号発売時点、現在は1万6千筆あつまり、7月6日に朝日に申し入れ予定)。朝日は「国民の声」にどう応えるのか。これは「言った言わない」とか解釈の話ではなく、現に使っている表現をやめてほしい、使い続けるなら説明責任を果たせという至極具体的な要望ですから、朝日新聞には誠意をもって答えてほしい。

ケント 誠意をもって対応しなかったら、いよいよ朝日はおしまいだよ。

 

朝日新聞や外務省の欺瞞、英語表現のまずさを指摘した、山岡鉄秀さんの『日本よ、もう謝るな! (ASUKASHINSHA双書)』、好評発売中!

著者略歴

  1. 山岡鉄秀

    AJCN Inc.代表・公益財団法人モラロジー研究所研究員 1965年、東京都生まれ。中央大学卒業後、シドニー大学大学院、ニューサウスウェールズ大学大学院修士課程修了。2014年、豪州ストラスフィールド市において、中韓反日団体が仕掛ける慰安婦像設置計画に遭遇。子供を持つ母親ら現地日系人を率いてAJCNを結成。「コミュニティの平和と融和の大切さ」を説いて非日系住民の支持を広げ、圧倒的劣勢を挽回。2015年8月、同市での「慰安婦像設置」阻止に成功した。著書に、国連の欺瞞と朝日の英字新聞など英語宣伝戦の陥穽を追及した『日本よ、もう謝るな!』(飛鳥新社)

  2. ケント・ギルバート

    米カリフォルニア州弁護士・タレント 1952年、米国アイダホ州生まれ、ユタ州育ち。83年、テレビ番組『世界まるごとHOWマッチ』にレギュラー出演し、一躍人気タレントとなる。近年は企業経営や講演、執筆活動も行う。著書に『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『いよいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人』(PHP研究所)など多数。

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