中国人民銀行党委員会書記が警告
不動産バブルが崩壊すれば、不良債権の大量発生によって金融システムが機能不全に陥り経済活動が麻痺し、中産階級の大量破産により国内消費がさらに落ち込んで、経済の破綻に拍車をかける。それに、バブルの崩壊に伴って不動産投資も激減するから、中国経済の一割以上を支える巨大産業の一つが完全に沈没することになろう。
2020年12月1日、中国人民銀行党委員会書記・中国銀行保険監督管理委員会主席の郭樹清氏が、「不動産バブルはいま、わが国の金融安全にとって最大の脅威」との趣旨の発言を行って大きな注目を集めたように、中国金融行政のトップは、すでに不動産バブル崩壊の危険性を察知して警告を発している。
不動産バブルの崩壊は、何も金融の安全だけの脅威ではない。それは、中国経済全体を破綻に追い込むほどの破壊力を持っている。その意味で、不動産バブルの崩壊は今後、中国経済にとっての「時限爆弾」と言える。それが爆発する日はすなわち、中国経済の終わりの始まりとなるであろう。(初出:月刊『Hanada』2021年8月号)
評論家。1962年、四川省生まれ。北京大学哲学部を卒業後、四川大学哲学部講師を経て、88年に来日。95年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。2002年『なぜ中国人は日本人を憎むのか』(PHP研究所)刊行以来、日中・中国問題を中心とした評論活動に入る。07年に日本国籍を取得。08年拓殖大学客員教授に就任。14年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。著書に『韓民族こそ歴史の加害者である』(飛鳥新社)など多数。