しかし長期的に見れば、このような不動産頼りの経済成長が永遠に続くことはない。住宅に関して言えば、中国全国ではこれまで約12億軒の住宅が建造されている。3人で一軒に住むと計算して、36億人を収容できる住宅がすでに出来上がっている。だが、2010年代半ばから中国の新生児出生数は毎年のように激減しており、若年層の人口数は今後減る一方だから、住宅市場はいずれ完全に飽和状態となる。いくら作っても売れない。
そうなれば、経済成長を牽引してきた不動産投資の拡大は止まり、その分だけ中国経済も低迷する。
バブルであれば、いずれ弾ける
不動産市場が抱えるもう一つの大問題は、すなわち投資・投機による不動産バブルの膨らみである。この20年間、中国では富裕層だけでなく、普通のサラーリマンや公務員の間でも、銀行から借金して2軒目、3軒目の住宅を投資あるいは投機用に購入することが一般的な社会的風潮となってきた。それほど大量の住宅が、住むためではなく、投資・投機用に建造され売買されている。これはどう考えても、不動産市場のバブル化である。
一方、中国の不動産価格はすでに暴騰しすぎている。たとえば上海・深セン・北京の三大都市の不動産価格はいま、それぞれ世界第4位、第5位、第6位を占める。国民の平均所得が中等国水準の中国で、不動産の平均価格がすでに先進国並みになっているということは、間違いなくバブルであろう。バブルであれば、いずれ弾ける。
不動産を投げ売りして一斉に逃げる
前述のように、不動産市場はいずれ飽和状態となって不動産が売れない時代が来る。不動産が売れなくなると、全体の価格は当然下がる。そうなった時、投資・投機用に2軒目、3軒目を購入していた人々は静観できない。不動産価格が下がる方向に転じれば、自分たちの財産が日々減っていくからである。
彼らは、手持ちの不動産をある時から投げ売りして一斉に逃げることになるだろうが、その結果として不動産価格は暴落、すなわち不動産バブルの崩壊が起きる。