「元読者」を繰り返し訪問
「大運動」や「月間」で読者が増えたといっても、その内実は、以前読者となったもののその後購読をやめている人に再購読をお願いしているというものだ。そうした人たちを党内では「元読者」と呼び、読者拡大運動のたびに繰り返し訪問している。
元読者は1、2カ月購読しては中止するということを繰り返している。決して長期の読者にはならないが、数カ月、半年、1年と間をあければ、「また(購読を)お願いしますよ」と気安くお願いできる対象でもあるので、党機関から読者拡大の圧力をかけられている党員たちからすれば便利な存在でもある。1カ月でも購読を約束してもらえれば、党機関に「読者拡大」の成果として報告できるからである。
だが、そんな「成果」は元読者の使い回しに他ならず、赤旗読者が本質的に増えているわけではない。そして元読者も高齢化しており、死亡による自然減は避けられない。
コロナ禍でも花見を強行
見過ごせないのが、新型コロナウイルスの感染拡大という国民的危機のなかにあっても、共産党が感染予防よりも読者拡大運動を中断しようとせず、高齢者党員たちを外出させ、マスクもせずに住民宅を戸別訪問させていたことである。玄関先の換気の良い場所であっても、購読を勧めるには至近距離での対面対話が欠かせない。感染リスクを高める行為だ。
私の地元である東京・板橋区では、都知事からの「花見宴会を自粛してほしい」との要請を無視し、共産党区議の後援会が2020年3月20日の春分の日に、「アベ政権を打倒しよう」とのスローガンで「お花見の会」を強行していた。これも、赤旗読者へのサービスと新読者獲得の場として企画された会だ。
共産党は2020年4月3日の常任幹部会声明で、「新型コロナ危機のもと」でも党活動・党建設をすすめることを全党に指令した。
この声明では「党員の感染防止、命と健康を守りつつ」としながらも、「党活動を断固として維持・発展させ、強く大きな党づくりに取り組むことを心から訴えます」と強い言葉で強調している。
共産党員たちは、外出を自粛したくてもできない状況に追い込まれている。それは党外の一般国民にも感染リスクを高めているといっても過言ではないだろう。