このままでは歴史的大敗北
イギリスのジョンソン首相は日本が無観客を決定する3日前の7月5日、ワクチン効果で死亡率と重症化率が激減したことを受け、1日2万7000人の陽性者が出ているにもかかわらず、マスク着用義務などの法的規制を撤廃することを示し「これからはコロナと共生していく」と発表。
ワクチンによって感染率・重症化率・死亡率が下がれば、当然、コロナは“普通の風邪”になるわけで陽性者の数など「関係ないこと」を世界に宣言したのだ。
陽性者が全国で2000人超の日本が五輪を無観客にし、その10倍以上の2万7000人の英国が法的規制をすべて撤廃したという事実を私たち日本人はどう捉えるべきだろうか。
無意味な陽性者数で、4度目の緊急事態宣言をおこない、飲食店やそこに出入りする業者を最後まで締め上げる政府。こんな“あり得ないこと”をやって、国民から政府に損害賠償訴訟も起こらないのだろうか。
毅然とした姿勢などまるでなく、左派勢力のツイデモ等のSNS戦略に煽られ、我を失った菅政権。おかげで支持基盤の若者や現実派にもソッポを向かれてしまった。
すでに補選三連敗、山形・千葉・静岡と知事選でも3連敗、そして当初予測された50議席当選に程遠く33議席で惨敗した東京都議選。選挙に負けつづける菅首相を「選挙の顏」にしたままでは衆院選で歴史的大敗北を喫することがわかった自民党。
さあ、国民の期待に応える若きリーダーに転換できるか否か。自民党のみならず日本の運命がかかっている。
(初出:月刊『Hanada』2021年9月号)
作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社に入社。週刊新潮編集部に配属され、記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月に独立。『この命、義に捧ぐ―台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、のちに角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。近著に『オウム死刑囚 魂の遍歴―井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり』(PHP研究所)、『新聞という病』(産経新聞出版)がある。