子供たちへの将来的影響は計り知れない
こうした状況下で、大きな問題の一つが子供たちの学びの場が失われるということだと思う。子供は人との交流を通じてその社会性を獲得する。マスクをして表情を読めない、人と直接触れ合えないという極めて異常な状況下で育った子供たちへの将来的影響は計り知れない。
先日、精神科医の和田秀樹氏とテレビ番組でご一緒したが、「笑うことは免疫力を上げるうえで重要」とおっしゃっていた。もっともな意見である。
新型コロナウイルスが怖いと思っている人たちに対して、怖くないといっても理解してもらうのは難しい。そうであれば、現在わかっていることを、データを基に政府は国民にもっと強く発信する必要があるのではないか。
国民の不安が少しでも和らぎ、東京五輪が開催されたら、「コロナ鬱状態」の社会が救われるかもしれない。(初出:月刊『Hanada』2021年8月号)
1965年生まれ。筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH﹇公衆衛生学修士号﹈)。ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞。米国CDC(疾病予防管理センター)他施設研究プロジェクトコーディネイター、財団法人結核予防会に勤務後、厚生労働省入省。厚生労働省医系技官を経て、現職。著書に『厚労省と新型インフルエンザ』(講談社現代新書)、『厚生労働省崩壊』(講談社)、『厚労省が国民を危険にさらす』(ダイヤモンド社)、『辞めたいと思っているあなたへ』(PHP研究所)など。最新刊『新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか』(飛鳥新社)が発売たちまち3刷。