「小物感」漂う顔ぶれ
バイデンが大統領安保補佐官に指名したジェイク・サリバン(1976年生)も年来の腹心で、ブリンケンと経歴の似た党官僚タイプである。弁護士事務所で働いたのち、エイミー・クロバシャー上院議員(2020年の民主党大統領予備選で比較的善戦した)の首席法律顧問、ヒラリー国務長官の副補佐官、バイデン副大統領の安保補佐官などを務めた。ケリー国務長官のもとで、イランとの核交渉にも関与している。
ジョン・ボルトンのように、周りと衝突してでも自己の信念を貫こうとするタイプではなく、調整型かつ党益優先型の安保補佐官になると見られている。
交渉の場で中国の不正を追及すべき通商代表には、その分野で実務経験を有するアジア系女性のキャサリン・タイが起用された。議会スタッフから閣僚級ポストへと一足飛びの大抜擢だが、単に多様性アピールの人事でないことを望みたい。
はたして、トランプ政権で、対中宥和派のムニューシン財務長官に対抗して強固なスタンスを維持したライトハイザー通商代表と同じ位置取りを貫けるか。ブリンケン、サリバン、タイいずれも「小物感」は否めず、対中政策において、大物宥和主義者のケリーあたりが主導権を握らないか、大いに懸念される。
なお2020年の選挙期間中、バイデン選対本部の気候変動作業部会において共同委員長を務めたのが、ケリーとAOCだった。
AOCを切り込み隊長とする民主党内極左は、ケリーの補佐官はじめ「環境ポジション」に左派を分厚く配置するよう、ホワイトハウスに強くプレッシャーを掛けていくだろう。
バイデンは、議会との交渉を担うホワイトハウス上級顧問に黒人のセドリック・リッチモンド下院議員の起用を発表したが、党内極左から、同議員は化石エネルギー企業に近いとして、撤回を求める声が即座に上がった。黒人なら批判しにくいだろうといった人事感覚は、環境過激派には通用しない。