バイデン政権を「身体検査」する!|島田洋一

バイデン政権を「身体検査」する!|島田洋一

どの色に染まるか分からない「カメレオン左翼」カマラ・ハリス副大統領を筆頭に、警戒すべきジョン・ケリーや党官僚タイプのアントニー・ブリンケンなどバイデン政権の閣僚をいち早く「身体検査」することで見えてきた新政権の実像。


「小物感」漂う顔ぶれ

Getty logo

バイデンが大統領安保補佐官に指名したジェイク・サリバン(1976年生)も年来の腹心で、ブリンケンと経歴の似た党官僚タイプである。弁護士事務所で働いたのち、エイミー・クロバシャー上院議員(2020年の民主党大統領予備選で比較的善戦した)の首席法律顧問、ヒラリー国務長官の副補佐官、バイデン副大統領の安保補佐官などを務めた。ケリー国務長官のもとで、イランとの核交渉にも関与している。  

ジョン・ボルトンのように、周りと衝突してでも自己の信念を貫こうとするタイプではなく、調整型かつ党益優先型の安保補佐官になると見られている。  

交渉の場で中国の不正を追及すべき通商代表には、その分野で実務経験を有するアジア系女性のキャサリン・タイが起用された。議会スタッフから閣僚級ポストへと一足飛びの大抜擢だが、単に多様性アピールの人事でないことを望みたい。  

はたして、トランプ政権で、対中宥和派のムニューシン財務長官に対抗して強固なスタンスを維持したライトハイザー通商代表と同じ位置取りを貫けるか。ブリンケン、サリバン、タイいずれも「小物感」は否めず、対中政策において、大物宥和主義者のケリーあたりが主導権を握らないか、大いに懸念される。

なお2020年の選挙期間中、バイデン選対本部の気候変動作業部会において共同委員長を務めたのが、ケリーとAOCだった。  

AOCを切り込み隊長とする民主党内極左は、ケリーの補佐官はじめ「環境ポジション」に左派を分厚く配置するよう、ホワイトハウスに強くプレッシャーを掛けていくだろう。  

バイデンは、議会との交渉を担うホワイトハウス上級顧問に黒人のセドリック・リッチモンド下院議員の起用を発表したが、党内極左から、同議員は化石エネルギー企業に近いとして、撤回を求める声が即座に上がった。黒人なら批判しにくいだろうといった人事感覚は、環境過激派には通用しない。

実は黒人から不人気のハリス

Getty logo

関連する投稿


【読書亡羊】トランプとバイデンの意外な共通点  園田耕司『覇権国家アメリカ「対中強硬」の深淵』(朝日新聞出版)

【読書亡羊】トランプとバイデンの意外な共通点 園田耕司『覇権国家アメリカ「対中強硬」の深淵』(朝日新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


プーチンは「内部」から崩れるかもしれない|石井英俊

プーチンは「内部」から崩れるかもしれない|石井英俊

ウクライナ戦争が引き起こす大規模な地殻変動の可能性。報じられない「ロシアの民族問題というマグマ」が一気に吹き出した時、“選挙圧勝”のプーチンはそれを力でねじ伏せることができるだろうか。


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


トランスジェンダー予備自衛官の本音|小笠原理恵

トランスジェンダー予備自衛官の本音|小笠原理恵

バイデン大統領は2021年1月25日、トランスジェンダーの米軍入隊を原則禁止したトランプ前大統領の方針を撤廃する大統領令に署名した。米軍では大統領が変わるごとにLGBTの扱いが激変――。だが、自衛隊ではお互いに理解を深めつつ共存している。その一例をご紹介しよう。


首相から危機感が伝わってこない|田久保忠衛

首相から危機感が伝わってこない|田久保忠衛

ハマスやレバノンの武装勢力ヒズボラをイランが操り、その背後に中露両国がいる世界的な構図がはっきりしてこよう。


最新の投稿


【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

川勝知事が辞任し、突如、終幕を迎えた川勝劇場。 知事の功績ゼロの川勝氏が、静岡に残した「負の遺産」――。


【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは  『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは 『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。