中国共産党は昨年12月11日、党政治局集団学習で「人類運命共同体」と「国家安全保障観を堅く持ち続ける思想」の重要性を強調した。習氏の言う「国家安全」は「政権安全」、「習近平独裁政権の安全」と同義である。習氏は第2次毛沢東政権を作りつつあり、「中露」対「日米欧」の価値観の対立は否応なく深まるだろう。
わが国はバイデン政権、欧州、とりわけドイツの動きを注視して、自由・民主主義陣営の協力体制確立に貢献するときだ。何よりも日本が日本であり続けるために、あらゆる意味で戦わなければならない。73年前の憲法も改正できていないわが国にそれができるか。政府、国民も共に弛緩した心を引き締めなければわが国は本当に危うい。それが今年の実相であろう。( 2021.01.14 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
国家基本問題研究所理事長。ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、日本テレビ・ニュースキャスター等を経て、フリー・ジャーナリストとして活躍。『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、『日本の危機』(新潮文庫)を軸とする言論活動で菊池寛賞を受賞。2007年に国家基本問題研究所(国基研)を設立し理事長に就任。2010年、正論大賞を受賞。著書に『何があっても大丈夫』『日本の未来』『一刀両断』『問答無用』(新潮社)『論戦』シリーズ(ダイヤモンド社)『チベット 自由への闘い』(PHP新書)『朝日リスク』(共著・産経新聞出版)など多数。