2類扱いは新型コロナの実態に合わず、その弊害は極めて大きい。安倍晋三首相は8月の退任表明会見でインフルエンザと同じ5類扱いに変更する方針を発表し、メディアは2類と5類の解説を始めた。これで医療、社会、経済の多くの被害をなくすことができ、2類扱いのために要した莫大な経費は高リスク者の感染防止と救命に集中することができ、ずっと多くの人命救助が期待された。
ところが厚生労働省は来年1月で期限を迎える2類扱いを1年延長することにした。そうであれば、その運用を大幅に柔軟化して欠点を排除し、天災に輪をかける人災を軽減すべきである。(2020.12.21 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
東京大学名誉教授・公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長。1964年、東京大学農学部獣医学科卒業。農学博士、獣医師。東京大学農学部助手、同助教授、テキサス大学ダラス医学研究所研究員などを経て、東京大学農学部教授、東京大学アイソトープ総合センターセンター長などを務めた。2008~11年、日本学術会議副会長。11~13年、倉敷芸術科学大学学長。著書に『不安の構造―リスクを管理する方法』(エネルギーフォーラム新書)、『牛肉安全宣言―BSE問題は終わった』(PHP研究所)などがある。