朝日新聞による言論抹殺―後編|小川榮太郎

朝日新聞による言論抹殺―後編|小川榮太郎

それにしても、と思わず嘆息せざるを得ないのは朝日新聞の訴状のひどさである。訴状の詳細を挙げてゆくのは煩わしいが、バカバカしさを知っていただくために、あえていくつかを検討する。


・紙面による朝日側と小川側の主張の検証を大きな規模で読者に提示するよう要求する。

・両者を代表する有識者による対論の掲載を要求する。

・朝日新聞記者や幹部が出席しての公開討論を要求する。

これらの要求を黙殺すれば、黙殺した事実を広く朝日新聞読者に伝えてゆく運動を起こす所存だ。

新聞各社にも訴えたい。係争中の著書の新聞広告は控えるという内規が各社にあるという。 そのため、この1月から多くの新聞で広告が掲載できなくなっているが、これはおかしい。

私は刑事事件の被告か、あるいはその可能性を疑われているのでは全くない。民事訴訟の提訴に一定の良識や基準があった時代ならともかく、今回のように訴訟そのものがスラップだと指摘されている件で広告掲載をしないとなれば、今後、不正が告発された社会的強者は、民事訴訟を起こせば、その間、社会的批判から逃げられることになるではないか。

民事訴訟に関する書籍の広告基準を見直すことを新聞各社に要請したい。

販売代理店に贈呈運動

読者にも強く訴えたい。


これは、私と朝日新聞の問題ではない。この裁判の帰趨は、日本の言論、日本の憲法体制、日本の今後の自由そのものに間違いなく強い影響を与える。


しかも、衆寡敵せず、我々は『月刊Hanada』と産経をはじめとする少数の保守系言論誌とネットによってしか国民に事実を知らせる術がない。 この裁判に関しては、私が代表理事を務める一般社団法人日本平和学研究所のホームページに特設サイトを設けた。進行状況や御支援、運動に関しては、「http://asahislapp.jp」を参照いただければ幸いだ。


その活動の1つの中核は、朝日新聞の全販売代理店に、本書と朝日の訴状と今回の拙稿を同封してプレゼントする贈呈運動となる。


不特定多数に本書を読んでもらっても、輿論形成にはなかなか発展しない。朝日新聞の今回の行状を最も知るべきなのは、販売代理店の人たちだ。彼らこそ、朝日新聞の実態を知らねば生存権にかかわる人たちだからである。約2400の朝日の販売代理店への贈呈運動の結果生じる印税収入は、この運動に還元する。


朝日新聞の販売代理店が拙著に説得力を感じるか、朝日の側の正当性を確認することになるかの判断は代理店各位に任せたい。


どの道、朝日新聞が、冒頭引用した綱領を本当に大切にする新聞に生まれ変われば、それで私の戦いは終わるのである。(おわり)

※本文中、スラップに関する部分は(社)日本平和学研究所の岡田鉄兵研究員の調べ・見解に負うている。

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