慰安婦問題に関連した国連クマラスワ報告書に対する反論|眞明行

慰安婦問題に関連した国連クマラスワ報告書に対する反論|眞明行

韓国の日韓友好市民団体「反日銅像真相究明共同対策委員会」と、韓国の代表的な実証歴史論客「真明行の歴史チャンネル」が共同で作成した国連クマラスワ報告書に対する大反論。


黄錦周は亡くなる直前まで「イラク派兵反対運動」をする等、従北左派団体である挺対協の主張に沿う活動をしてきた。挺対協が主導する政治運動に埋没した黄の「慰安婦証言」には政治的歪曲がないか甚だ疑問である。(韓国女性団体連合の資料写真)

4.クマラスワミ報告書のファクト誤謬

クマラスワミ報告書は歴史的事実と論理的因果関係、常識に符合しない記述が見られる。その事例は次の通りである。

(1)報告書11番項目「日本軍慰安所起源の誤謬」

近代東アジアでの軍慰安所は「義和団の乱」鎮圧戦争(1900~01年)で8ヶ国連合軍によって始まったもので、日本、米国、英国軍隊のためにそれぞれ1ヶ所、ロシア軍隊に3ヶ所を設置した。(車瓊愛,『1900年前後 東北アジア 3大戦争と軍慰安所』, 2009, 12p~13p)。

この時期に設置された軍慰安所は設立背景、管理地域、業所の監督、定期的衛生検査、利用時間、軍票の配布、女性の年齢制限等、太平洋戦争時期に日本軍軍慰安所と大して違わない。ただ、慰安所や慰安婦という用語が使用されないだけであり、性病を予防するための目的で設立された軍専用売春施設という点では同一だ。

これを朝鮮と日本の問題だけに限定させ、狭隘なアプローチをすること自体が慰安婦問題をジェンダー的な人権問題と見ず、民族主義的葛藤と偏向性を示している。

報告書には不正確で根拠の不十分な記述が見られる。最初の軍慰安婦は北九州に渡って来た朝鮮人となっているが、日本人「醜業婦」で構成された娘子軍が1870年代から南方、中国等に遊郭として進出した状態だった。

上海慰安所も大一サロン、小松亭、永楽館、三好館等、4ヶ所の遊郭業所が軍慰安所に転換したのである。朝鮮人慰安所はこれらの繁盛以後に進出した。

1930年『在上海朝鮮人状況』によれば、朝鮮人ダンサーとウェイトレスは21名に過ぎなかった。それが1936年以後に大きく増加し、酌婦が29名、ダンサーが37名、接待婦が48名であり、それ以外に私娼をする朝鮮人女性も290名にもなった。(参照:『昭和十一年中ニ於ケル在留邦人ノ特種婦女ノ状況及其ノ取締』)

(2)報告書14番パラグラフ「慰安婦徴集という用語の不適切な使用」

報告書では慰安婦需要が増加すると、徴集という方法を通じて強制と詐欺が動員されたと記述されている。非常に不正確な記述である。徴集というものは基本的に徴用令という法律の下で、国家機関が徴用状に依拠して選び出す方式をいうが、日本は一度も慰安婦をこうした方式で徴集したことがない。

(3)報告書15番パラグラフ「朝鮮での国家総動員法施行誤謬記述」

総論15項には国家総動員令制定時期が1932年と記述されているが、1938年であり明白な誤謬である。基本的な事実関係すら十分に調査されない不誠実な報告書である。女子挺身隊は朝鮮の場合1944年末に動員されたが、被害女性の大部分は1939年から1942年の時期に慰安婦になったので、挺身隊実施とは何の関係もない。

(4)報告書16番パラグラフ「挺身隊と慰安婦の混同」

女子挺身隊と慰安婦を無理に関連させる誤謬を犯している。挺身隊は一定の年齢と学力を持つ女性で、短期間勤労に動員されたが、慰安婦被害者は大部分、無学、妓生、家政婦、料理屋で生計を維持した女性たちで、挺身隊に応じる資格に該当しない。

(5)報告書17番パラグラフ「日本国内慰安所に対する調査の不誠実または意図的排除」

この項目で報告書は日本軍が駐屯する場所であれば慰安所がどこであれ存在し、慰安婦搾取があたかもすぐに軍隊にだけ横行したように記述しているが、これは一般化の誤謬である。日本国内に存在する慰安所の大部分は炭鉱やダム建設工事現場の労務者のための慰安所だ。朝鮮人労務者もこの慰安所を利用した。慰安所は売春施設であるだけで、慰安所に従事する女性たちが、人権問題や人身売買については慰安所だけでなく、私娼や料理屋等、遊興施設に売られていった全ての女性を対象にしてこそ道理に合う。前貸金を返済する時まで個人の自由が剥奪され、監禁状態で性的サービスが遂行されることは差異が無い。

(6)報告書20番パラグラフ「慰安婦虐待に対する先入観と断定」

この項目で事例に提示した慰安婦の非人間的で残酷な実状は戦地の状況によって異ならざるを得ないことを意図的に無視した。慰安婦関係の当時の米軍報告書である『Japanese Prisoner of War Interrogation Report 49』(英文本)によれば、ビルマのミトキナ地域の慰安婦女性は豪奢な生活をして、十分な金で服、靴、タバコ、化粧品を買い、将校たちと一緒にピクニックと各種のレクレーション、社交的な夕食等に参加し、楽しく暮らした。彼女たちは蓄音機を持っていて、市内でショッピングをしたと調査された。([専門翻訳]日本軍戦争捕虜尋問報告書第49号:韓国人慰安婦たち)

日本軍戦争捕虜尋問報告書第49号(Japanese Prisoner of War Interrogation Report 49)

戦場で、特に激戦地であるほど状況によって補給が中断され、状況が劣悪になれば、慰安婦だけでなく、軍人と軍属等、全ての人々が困難になる。また慰安婦たちが困難だった状況を回顧しながら、証言上の誇張や隠蔽、歪曲が有り得ることは全く勘案されず、無批判的な受容態度を見せている。

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