20年以上訴えてきた人権問題、知られざる南モンゴル問題
アメリカ・ニューヨークに本部を置き、国連、アメリカ国務省、アメリカ連邦議会をはじめEUなど世界の主要な機関において20年以上にわたって南モンゴルにおける人権問題を訴えてきた南モンゴル人権情報センターの代表をはじめ役員3名が7年ぶりに来日した。アメリカ国務省、連邦議会から招待されて証言を行ったことのある南モンゴルの唯一の団体でもあり英語圏では広く知られているものの、日本では、モンゴルや南モンゴルにおいて事件が発生したことを報じるニュース記事などに情報元として名前が載るくらいで、知名度はまだほとんどないと言ってもいいだろう。
だがそのホームページを見ると一目瞭然だが、南モンゴルにおける様々な人権問題について、証言や情報が幅広く収集されており、非常に重要な情報発信を行っている。貴重な情報源であり、その話を直接聞く機会を得ることが出来たことは僥倖であった。
日本では、チベットを支援する国会議員連盟やウイグルを支援する国会議員連盟はあるものの、南モンゴルを支援する議員連盟は長いことなく、2年前に自民党議員によって結成された。議連幹事長に就任した山田宏参議院議員と議連事務局長(当時)に就任した上野宏史衆議院議員(当時)を中心に構想が持ち上がり、二人の熱意のお陰で、高市早苗衆議院議員を会長に力強く発足した。
コロナ禍であったこともあり、南モンゴル人権情報センターのメンバーの来日は、南モンゴル議連発足後、今回が初めてである。南モンゴル議連幹事長の山田宏参議院議員と南モンゴル人権情報センター代表のエンフバット・トゴチョグ氏に対談を行ってもらい、南モンゴル問題と中国にいかに立ち向かっていくかについて議論を交わしてもらった。(聞き手・文責/石井英俊 自由インド太平洋連盟副会長)
石井 エンフバットさんは今回7年ぶりに来日したわけですが、その目的をまず教えてください。
エンフバット 私はニューヨークに本部を置いている南モンゴル人権情報センターという人権団体の代表をしています。20年以上にわたり、国連やアメリカ国務省、アメリカ連邦議会やEUなどで様々な証言を行ってきました。今週(6月第2週)、台湾で中国の人権問題に関するアメリカ国務省のイベントがあり、私の組織はそのプロジェクトのパートナーとしてそこに参加しました。日本に行きたいとずっと考えていましたので、台湾に来たこの機会に日本も訪問したいと考えて、急なことでしたが来日することにしました。
ここ数年、日本の議会では、中国の人権問題、その中で南モンゴルの問題についても非常に多く取り上げてくださっています。特に日本の「南モンゴルを支援する議員連盟(会長:高市早苗衆議院議員)」は熱心に動いてくださっています。
例えば、2022年10月にはムンヘバヤルさんの件についての声明文(※筆者注:Hanadaプラス「国民栄誉賞受賞ジャーナリストの不当逮捕に習近平の影」参照)を出してくださいました。世界が南モンゴルでの問題について理解するために、声をあげてくださっていることにとても感謝しています。ですので、日本の議会が今後も南モンゴルの問題や事件を取り上げ続けてくださるようお願いしにきました。