永田町の政治家が読むべき、菅総理の愛読書|花田紀凱

永田町の政治家が読むべき、菅総理の愛読書|花田紀凱

ついに発足した菅内閣。菅総理は、どういった基準で人選していったのか。そのヒントとなるのが、菅総理の愛読書『リーダーを目指す人の心得』(コリン・パウエル著、飛鳥新社刊)。本書の内容を紹介しながら、菅内閣人事の核心に迫る!


コリン・パウエルは、第101空挺師団で直属の上司だった人物で、数々の勲章を受け”タイガー”の異名をとるウェルドン・ハニーカット准将のこんなエピソードを紹介している。

〈ある週末、師団上層部が集められ、「組織的効率」に関する2日間のセミナーがおこなわれた。民間大学から招かれた講師は、冒頭、目標と目的をリストアップし、その内容についてどう思うかを話し合うと説明。
 ところが、この説明が終わったとたん、タイガーは手を挙げて「こんなやろうにいったいいくら払ってるんだ?」とたずねると、部屋から出ていってしまった。〉

菅新内閣にこんな人物はいるだろうか。ま、いないだろうなぁ。

〈副官については、私よりも厳しくて怖い人を必ず探す。〉

ここで紹介されているのは第101空挺師団第2師団時代の副官ソニー・タッカー少佐のエピソード。

〈なにか問題に感じることがあったとき、私は、ソニー少佐にそのことを伝えるだけでいい。その日のうちに、すぐとなりにあるソニー少佐の執務室から次のような声が聞こえてくるのだ。
「お前、大佐殿のご機嫌を損ねるようなことをしたらしいな。大佐殿のご機嫌が悪くなると、オレも虫の居所がおかしくなるんだ。徹底的に締めあげてやるから覚悟するんだな」〉

副官ともいうべき、加藤官房長官にこんなことができるだろうか(菅さんはできたと思うが)。

ちなみにソニー少佐は除隊後、牧師になったそうだ。

ビジネスパーソンはもちろん、永田町の政治家が読むべき本。

リーダーを目指す人の心得 文庫版

著者略歴

花田紀凱

https://hanada-plus.jp/articles/183

月刊『Hanada』編集長。1942年、東京生まれ。66年、文藝春秋入社。88年、『週刊文春』編集長に就任。部数を51万部から76万部に伸ばして総合週刊誌のトップに。94年、『マルコポーロ』編集長に就任。低迷していた同誌部数を5倍に伸ばしたが、95年、記事が問題となり辞任、1年後に退社。以後『uno!』『メンズウォーカー』『編集会議』『WiLL』などの編集長を歴任。2016年4月より現職。

関連する投稿


たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

昭恵夫人が「号泣しました。生涯最高の一冊です」と大絶賛。全国から感動、感涙の声が続々。安倍晋三総理の67年の生涯を描いた『マンガ安倍晋三物語』の制作秘話を未公開イラストと共に初公開!


山口敬之さんの連載『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった理由を説明します|花田紀凱

山口敬之さんの連載『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった理由を説明します|花田紀凱

「連絡がないままボツにした」「いくらでも直しますから、ボツはやめてくれ」……。『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった件について、山口敬之さんは自らの番組その他であれこれ発言していますが、事実と異なる点が多々あるので、以下、経過を説明します。


【編集長から】ジンジャー、つまり生姜の花|花田紀凱

【編集長から】ジンジャー、つまり生姜の花|花田紀凱

10月26日発売の12月号【編集長から】を特別無料公開!


望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

ジャニーズ事務所会見での「指名NGリスト」が騒ぎになっているが、そもそも記者会見とは何か、ジャーナリズムとは何か、それらをはき違えた人物たちにより我が国のジャーナリズムが破壊されることは、ジャーナリズム出身者としても許せない。(サムネイルはYouTubeより)


【著者インタビュー】編集長も三度泣いた! 下山進『アルツハイマー征服』

【著者インタビュー】編集長も三度泣いた! 下山進『アルツハイマー征服』

治療法解明までの人類の長い道全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しむ「アルツハイマー病」は、がんと並ぶ治療法が未解決の病。だが研究が進み、現在ついに希望の”光”が見えてきた――発症した患者、その家族、治療薬を開発する研究者たち……いくつものドラマが重なる治療法解明までの長い道のりを描いた、傑作サイエンス・ノンフィクション!


最新の投稿


【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発メディアが権力の暴走を後押しする|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

【読書亡羊】「時代の割を食った世代」の実像とは  近藤絢子『就職氷河期世代』(中公新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

【今週のサンモニ】臆面もなく反トランプ報道を展開|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

【今週のサンモニ】『サンモニ』は最も化石賞に相応しい|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。