コリン・パウエルは、第101空挺師団で直属の上司だった人物で、数々の勲章を受け”タイガー”の異名をとるウェルドン・ハニーカット准将のこんなエピソードを紹介している。
〈ある週末、師団上層部が集められ、「組織的効率」に関する2日間のセミナーがおこなわれた。民間大学から招かれた講師は、冒頭、目標と目的をリストアップし、その内容についてどう思うかを話し合うと説明。
ところが、この説明が終わったとたん、タイガーは手を挙げて「こんなやろうにいったいいくら払ってるんだ?」とたずねると、部屋から出ていってしまった。〉
菅新内閣にこんな人物はいるだろうか。ま、いないだろうなぁ。
〈副官については、私よりも厳しくて怖い人を必ず探す。〉
ここで紹介されているのは第101空挺師団第2師団時代の副官ソニー・タッカー少佐のエピソード。
〈なにか問題に感じることがあったとき、私は、ソニー少佐にそのことを伝えるだけでいい。その日のうちに、すぐとなりにあるソニー少佐の執務室から次のような声が聞こえてくるのだ。
「お前、大佐殿のご機嫌を損ねるようなことをしたらしいな。大佐殿のご機嫌が悪くなると、オレも虫の居所がおかしくなるんだ。徹底的に締めあげてやるから覚悟するんだな」〉
副官ともいうべき、加藤官房長官にこんなことができるだろうか(菅さんはできたと思うが)。
ちなみにソニー少佐は除隊後、牧師になったそうだ。
ビジネスパーソンはもちろん、永田町の政治家が読むべき本。
著者略歴
月刊『Hanada』編集長。1942年、東京生まれ。66年、文藝春秋入社。88年、『週刊文春』編集長に就任。部数を51万部から76万部に伸ばして総合週刊誌のトップに。94年、『マルコポーロ』編集長に就任。低迷していた同誌部数を5倍に伸ばしたが、95年、記事が問題となり辞任、1年後に退社。以後『uno!』『メンズウォーカー』『編集会議』『WiLL』などの編集長を歴任。2016年4月より現職。