4月の総選挙で議席の6割を得た与党の共に民主党は、これまで野党にも議席比例で分配していた各委員会の委員長ポストを独占し、「憲法改正以外何でもできる」とされる独善的な国会運営を始めている。1980年に学生と市民が戒厳軍に武装抵抗した光州事件について、民主化運動だったという解釈に異論を唱える者を刑事処罰できる「5・18(光州事件)歪曲処罰法案」を与党議員全員の名で提出した。同法案は、逮捕権を持つ特別調査委員会を設置し、歪曲主張をしたとされた者を懲役7年以下の刑に処するという内容だ。
その次には、親日発言禁止法案も準備されている。それとは別に、すでに与党議員が「歴史歪曲処罰法案」を提出している。学問と言論の自由は、自由民主主義の根幹だ。韓国が全体主義の方向に進むのか、その動きを止めることができるのか。李栄薫氏らの戦いを注視したい。(2020.07.13 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。