李氏は最近、元慰安婦としての自分の証言の信ぴょう性に韓国内で疑問が提起されているのに、尹氏や挺対協が守ってくれないと不満を吐露していたという。
李氏は1993年に挺対協が出した証言集で、貧困のため家出して日本人の女衒ぜげん(周旋業者)について行って慰安婦になったと述べ、女衒から赤いワンピースと革靴をもらってうれしかったと語っていた。ところが、その後、日本軍に強制連行されたと証言を変えた。その点を2018年、インターネットニュース「メディアウォッチ」の黃意元記者が詳細に取材して長文の記事を書いた。すると、尹氏らは黃記者に抗議せず、むしろ李氏を運動から遠ざけ始めた。
昨年出版され、韓国でもベストセラーになった『反日種族主義』は慰安婦の強制連行・性奴隷説を否定し、貧困による人身売買だったとの説を提示した。昨年12月から毎週水曜日に日本大使館前で、黃記者や『反日種族主義』の著者らが、挺対協の集会に対抗する慰安婦像撤去集会を持ち、そこで挺対協の証言集を手に取って、強制連行・性奴隷説は虚構であり、慰安婦は貧困のために売られたのだと演説している。
日本ではすでに、朝日新聞などが1990年代初めに火をつけた慰安婦強制連行キャンペーンは捏造だったことが広く知られるようになった。ついに韓国でも真実の力がウソを打ち破る日が来るのか、固唾を飲んで見守っている。(2020.05.25国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。