botちゃん 「消費税が払えない」と多くの中小企業が苦しんでいるなか、大企業は優遇されすぎているのではないでしょうか。
編集部 IMFやOECDといった国際機関と財務省の関係を主人公である高橋あさみが「羊の皮を被っても無駄」と指摘しています。
botちゃん 日本人は外圧には弱いですよね。IMFのナンバー2である副専務理事は歴代、財務省財務官の天下りポストですから。しかも、日本は第2位の出資国。財務省が裏で糸をひいているとしたら……本当に恐ろしい話です。
でも、特定の組織を悪者にしようと思ってこの漫画を描いたのではありません。日本は空気の支配する国ですから、誰かを責めても仕方ないと思っています。「財政規律を守る」という財務省の気持ちもわからなくはない。
ただ、金庫番の発想ありきでは国がダメになる。度が過ぎると、経済がシュリンクする。本を読み、漫画を描いてみてわかったことは、みんな頑張っているんだけど、物事をトータルで捉えることができていないということです。ほぼほぼ外堀が埋まっているなかで、なにができるのか。
ネット空間から発信することが大事だと思ったので、ツイッター上で漫画を無料公開したわけです。アニメにしてYouTubeにもアップしました。前日銀副総裁の岩田規久男さんが「消費税弱者」という言葉を使っていますが、ネットの反応を見ていると、漫画のなかで描いた「弱者の視点」(中小企業が消費税を払えない悲しさ、お年寄りや生活に困っている人たちの気持ち)にもっとも大きな反響があった。
安倍総理も読んだ?
編集部 製本された漫画が安倍総理の手に渡ったというのは本当ですか。
botちゃん 本当です。安倍総理が読まれたかどうかはわかりませんが。
編集部 どういう経緯で、そのような流れになったのでしょうか。
botちゃん 5月21日、「消費税増税の『リスク』に関する有識者会議」(“逆”有識者会議)という会合が、国会内で開催されました。呼びかけ人は岩田規久男さんと藤井聡さんで、消費増税に反対する経済学者やエコノミスト、与野党の国会議員など20人あまりが集まって、「増税やむなし」の空気に一石を投じました。
その後、藤井さんが首相官邸を訪れ、消費増税のリスクについての意見書を西村康稔官房副長官に手渡しました。その意見書とともに私の漫画も手渡してもらったのです。「安倍総理に届け!」というのがこの漫画の最終ミッションでしたので、うれしかったですね。
編集部 6月28日、ビジネス社から単行本が発売されます。
botちゃん 単行本の解説は藤井聡さんが書いてくれました。賛成や反対を問わず、党派を超えて、多くの人に読んでほしい。この漫画がきっかけになり、風向きが少しでも変わってくれればいいのですが。