中学生が読んでもおもしろい!
編集部 「誰でもわかる!」と銘打った本は世の中にたくさんあるのですが、「本当に誰でもわかる」本は意外に少ないように思います。
botちゃん 私のようなごく普通の市民にはわからない(笑)。消費税についての漫画を作ろうと思った理由は、実はそこにあるんです。「誰でもわかる」本にするためには、なにひとつわからなかった「私」は武器になる、と。かといって、つまらない説明漫画にはしたくなかったので、ストーリーにもかなり力を注ぎました。
中学生が読んでもわかる本、おもしろい本にしたかったので。
編集部 たしかに、わかるだけじゃなくて、おもしろい。それでいて、漫画としての完成度も高い。女子高生の高橋あさみが、増税に賛成する新聞社社長、経済学者、経団連会長、政治家、IMF理事、財務官僚といったクセのあるキャラクターと対峙し、論破していく。痛快でした。
botちゃん データの正確さと同じくらい、キャラ設定も厳密に行いました。彼らの理論とそれを論破するための理論。そこを戦わせることで読者に「物事の両面」を提示したかった。「なんとなく」で流されてしまわないように。一方的な情報だけで判断するのは危険ですから。
編集部 論破するために、どなたの本を参考にされましたか。
botちゃん 藤井聡さん、上念司さん、髙橋洋一さんです。意外といったら失礼ですけど、森永卓郎さんの本もかなり参考になりましたね。読みやすくておもしろかった。「大企業や金持ちからガンガンとればいくらでも財源は調達できる」という論にはあまり賛成できませんけど。
編集部 経済学者が敵キャラとして登場しますが、「御用学者」という報道は少ないような気がします。
botちゃん そうなんです。私も調べてわかったことなのですが、消費増税の賛否を問う有識者会議に「御用学者」がこれほどまでに多いとは驚きでした。2013年、消費税を8%に上げるか否かの有識者会議がありました。44名の有識者が増税に賛成したのですが、そのうちの15名は絵にかいたような「御用学者」でした。経歴を見たら、笑ってしまいますよ、ほんとに。
編集部 「御用学者」もそうですが、「御用エコノミスト」がいるというのは、さらに知られていません。
botちゃん 証券会社や銀行のエコノミストは民間人だと私も思っていたので。「御用エコノミスト」がいるなんて普通は思いませんよね。「増税は正しい」と自分たちの主張を権威づけるために、「経済学者やエコノミストを抱き込むのは財務省の常套手段だ」と高橋洋一さんは指摘しています。資料やデータを役所からもらい、海外出張も税金から出る。おいしい商売だなと思います。
財務省には逆らえない
編集部 経団連の会長が消費増税に賛成するというのも妙な話です。
botちゃん 物が売れなくなるんですからね、普通に考えれば。「消費増税の代わりに法人税を減らす」という裏約束があったのではないかと漫画にも描きましたけれど。
財務省は税金を集める国税庁も内部に持っていますから、おそらく、「脱税」や「スキャンダル」といったような企業の弱みを握っています。大企業の幹部がケンカしたくないと思うのも当然ではないでしょうか。
編集部 「輸出戻し税」(下記参照)もあまり知られていない言葉です。