SARS対応の陣頭指揮を執った陳水扁総統の証言
2003年春、同じく中国発の重症急性呼吸器症候群(SARS)が周辺国と東南アジアに感染拡大した際、台湾でSARS対応の陣頭指揮を執っていた当時の総統、陳水扁氏は筆者(矢板)の取材に対し、「中国当局が発表した感染者と死者数だけではなく、ほかのデータも捏造されたものが多いため、私たちは翻弄された」と証言した。
台湾はSARSで84人の死者を出した苦い経験がある。この時、台湾政府が策定した対策プランは中国が発表した数字に基づいて作られ、数字が正しくないため、対策も効果を上げられなかったという。
台湾は17年前のこの教訓を活かし、今回、中国当局が当初発表した「人から人への感染はない」のを信用せず、いち早く中国と人的往来を事実上止めた。蔡英文政権の防護対策は功を奏し、感染者の数は低く抑えられている。
陳氏は、「今回の武漢ウイルスへの中国の対応を見ると、17年前と体質が変わっていないどころか、さらに悪くなっている」と指摘した。