都合の悪い取材は一切受けず逃げ回る
ところが中村氏は、県政担当記者の質問に「得たり」とばかりに反応。加計学園絡みのメモの信憑性を得意げに話し、私の「取材力」を揶揄した。
「全く次元の違う話ですから、加計学園のメモというのは、国から出てきたメモですから、われわれは全然関与していないんですよね。国の方から出てきたメモについて、どうなのかと問われたので、それ本当のメモですよ、うちの職員が書いたメモですよ、中身は間違いありませんよ、ということをわれわれは申し上げただけなので、全く次元の違う話じゃないのかなと。だから、ちょっと取材の力がどうなのかなというふうに感じましたけれどね。はい」
せっかくのご指摘なので、私は「取材の力」を磨くよう心掛けるが、中村氏も、都合の悪い質問から逃げ回るのを止めるようお勧めする。
そもそも中村氏は、私が出した質問書に対し、1週間以上の猶予があったにもかかわらず、一切回答してこなかった。
回答期限が過ぎても連絡がないので期限を2日間延長し、本誌編集部が中村事務所に回答を催促したところ、事務所側は「あとで担当者から連絡させます」と答えたものの、電話一本かけてこなかった。さらに、先月号(2019年3月号)の発売後に、再質問書として改めて同様の質問項目を事務所に送付したが、一切連絡はこなかった。
もちろん、取材を受ける、受けないは中村氏の自由だが、都合の悪い取材には一切答えないというのでは、「ものを言う知事」の名が泣くだろう。
元暴力団員の自殺未遂事件
今回のレポートの最後に、中村知事会見で質問が出た元暴力団組員の自殺未遂事件について触れておく。
この事件は、本誌発売の5日前に起きた。毎日新聞の報道を引用する。
「21日午前2時ごろ、松山市一番町四丁目の愛媛県庁本館の正面玄関付近で、拳銃のようなものを握った男性(76)が負傷して倒れているのを警備員が見つけた。(中略)松山東署は自殺を図った可能性もあるとみて、拳銃かどうか確認している」
その後の松山東署の調べで、この男性は愛媛県新居浜市の元暴力団組員と判明。元組員は28日、回転式拳銃一丁と実弾数発を所持したとして、銃刀法違反(拳銃加重所持)の疑いで逮捕された。
この事件について、会見で質問を受けた中村氏は次のように話した。
「今回、これは確認は取れていないんですけれども、この方(容疑者)もレッグの関係があるやにも聞いていますので、何かがあるのかなという、ちょっとそんな気がしていますね」
その後、2月6日、テレビ愛媛が「県庁前で拳銃で自殺を図った男 動機は“レッグ問題への抗議か”」という続報を流した。
それによると、元暴力団組員の容疑者は自殺の動機について、レッグの問題で不正をただすために自決するつもりだったという趣旨の話をしていることが新たに分かったという。
テレビ愛媛は「中村知事が松山市長時代に、松山市の産業廃棄物最終処分場レッグに処分場の杜撰な管理があったもので、その後、汚染水が漏れ出したため、対策工事などにおよそ70億円の巨額の公費がかけられています」とも伝えた。
何やらきな臭い事件だが、事件は本誌が発売される5日前に発生しており、断るまでもなく、本誌の報道と事件は何の関係もない。
私はレッグ問題に関連する資料を多数入手し、多くの関係者の証言も得ている。私はこの問題を引き続き取材し、報道していくつもりである。