中村時広愛媛県知事の虚偽答弁!【告発レポート第2弾】|長谷川学

中村時広愛媛県知事の虚偽答弁!【告発レポート第2弾】|長谷川学

70億円もの血税が投じられた前代未聞の大規模環境汚染。その責任者である中村時広愛媛県知事は現在に至るまで一切の説明責任を果たしておらず、そればかりか虚偽答弁を重ね逃げ回っている。愛媛県内で絶大な権力を誇る知事に対してメディアも忖度し完全に沈黙。地方行政の驚くべき腐敗を徹底追及する告発レポート第2弾!


黒塗りにされた新聞広告

先月号(2019年3月号)の告発レポート「中村愛媛県知事に重大疑惑」は大きな反響を呼んだ。編集部には問い合わせや激励の電話が数多く寄せられた。  


思わぬ波紋も起きた。愛媛新聞社が先月号の本誌の宣伝広告のうち、私のレポート部分の見出しや中村時広知事の写真などの掲載を拒否したのだ。  

本誌は見出しを伏字にすることも提案したが、愛媛新聞社側は受け入れず、やむなく本誌は、当該部分の広告を黒塗りにせざるを得なかった。こうして2019年1月28日の愛媛新聞朝刊には、一部が黒塗りの異例の広告が載った。  

本誌は、同じ広告を愛媛県内発行の読売、毎日両紙にも出稿し、こちらは問題なく掲載されている。

私は「表現の自由」を振りかざすつもりはないが、読売、毎日両紙に比べ、愛媛新聞社の対応は、いささか常軌を逸しているのではないか。  

私のレポートは、1月31日に愛媛県庁で行われた中村時広知事の定例会見でも取り上げられた。  中村氏は「すごいお金かかっていますよね。あれだけの記事を書き、新聞社さんに広告まで出しているんですから、そこには何かあるのかなというふうに疑ってはしまいますね」と思わせぶりな発言をし、“謀略”をにおわせた。  

あとで詳しく触れるが、こうした思わせぶりな言い回し、謀略説を持ち出しての対人攻撃と責任転嫁、あるいは論点逸らしは、中村氏の最も得意とするところである。

中村知事に関する疑惑を報じた記事箇所が全て黒塗りにされた愛媛新聞の広告(下)
上は通常版。

自分の都合のいいように事実を捻じ曲げる

黒塗り広告についての質問もあった。

「広告という話だが、全国紙と地方紙で、広告の中身が一部、加工されている部分があったが、そのあたりはどのような」  

この質問には、新聞社側の知事への忖度を疑う含意もあったように思うが、中村氏は「それは、私は全然関知していないし、知らないです。はい」とスルーした。  

また、「このタイミングで出たことについては、何か」との質問にも、謀略説をにおわせる発言をした。

「何かあるんでしょうね。例えば、選挙の絡み。選挙の日程であるとか」  

さらに中村氏は、愛媛県と訴訟になっている企業があることをあえて持ち出し、「いま、一審、二審とも県が勝訴していますので、佳境を迎えていますので、そんなところも、ひょっとしたらですよ、影響しているのかなというふうにも思います」  

舞台裏を知っている私からすると噴飯ものの発言だが、一つだけ指摘しておくと、私は今回の報道に当たって、中村氏の県知事選挙に影響を与えるのを避けるため、県知事選が終了するまで、あえて地元取材を控えていた。  

中村氏は2018年11月の知事選で3選されたが、私はそれを見届けてから地元での取材を始め、そして当選後に報道した。  

もっとも、中村氏のこれらの発言は他愛のない邪推の類で、とくに目くじらを立てる必要もない。 だが、中村氏の発言には看過できないものがいくつもある。そのなかには、明らかな虚偽も含まれているように思う。

中村氏の発言には、自分に都合のいいように事実を捻じ曲げようとする意図すら感じられ、到底、看過できない。  

そこで、前回、私が指摘した事実関係を以下で要約して再録し、それとの比較で中村氏の発言の問題点を浮き彫りにしたいと思う。

中村知事の虚偽答弁に対して記者からは何ら追加質問等は出なかった(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)

記者から追及を受けない中村知事はまさに「言いたい放題」(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)

事実は闇に葬られ、血税70億円が投じられていく……(愛媛県庁HP「平成30年度1月知事定例記者会見(平成31年1月31日)の要旨について」より)

70億円もの血税を投入

中村氏は、加計学園の獣医学部開設を巡り、「首相案件」などと記した愛媛県職員のメモなるものを公表して安倍政権と対峙。「ものを言う知事」ともてはやされた。  

だが、中村氏の動機については「2018年11月の県知事選挙を控え、安倍政権はもたないと踏み、加計問題で“道連れ心中”は御免と突き放し、火の粉を振り払ったのではないか」との指摘もある。  

実際、中村氏には、6年前にも“部下のメモ”なるものを持ち出して、火の粉を振り払った過去があった。  

中村氏は1999年から2010年11月までの11年間、松山市長を務めたが、市長在任中に持ち上がったのが、いわゆる「レッグ問題」だった。  

レッグ問題とは、松山市の産業廃棄物処理業者(株)レッグが大規模な環境汚染を引き起こし、その対策費として国、県、松山市が総額約70億円もの税金を投入した事案だ。レッグ問題に使われた税金は、愛媛県と今治市が加計学園に提供した約93億円の補助金に匹敵する規模である。  

レッグは埋立超過などの違反を繰り返す悪質な業者だった。ところが当時の中村市長はレッグに対し、強制力のない口頭指導や文書指導を繰り返すばかりで、施設の使用停止命令や改善命令などの法的拘束力のある行政処分、免許奪を一度たりとも行わなかった。  

中村氏が抜本的対策を怠っている間に、レッグ処理場は大量の廃棄物でほぼ満杯状態になり、レッグはいったん市に業務廃止届を提出したが、その裏では埋立業務継続を市に働きかけていた。  

レッグの業務継続には、処理場の埋立容量を新たに確保する必要があった。そこでレッグは市の了承のもと、廃棄物を重機で圧縮する「転圧」という作業を実施。これにより5000立方メートルの埋立容量が新たに確保された。  

転圧の半月後、中村氏はレッグに業務再開許可を出したが、その後、レッグ処理場から灰濁した汚染水と廃棄物が流出する事故が発生し、大規模な環境汚染問題に発展した。  

流出事故は、無理な転圧によって引き起こされた。レッグ処理場の下には地下水路が流れており、転圧によって水路の一部が破損し、そこから処理場内の汚染水と廃棄物が流れ出したのだ。

2019年2月4日付愛媛新聞

国も認めた対応の誤り

レッグに再開許可を出し、環境汚染の原因を作った中村氏は2010年11月に知事に転身。中村氏の後任には、中村氏の側近の野志克仁氏が就任した。  

12年9月、松山市はレッグ問題について、有識者による第三者の検討部会を設置。そこでの議論を踏まえ、13年3月、松山市はレッグ処理場の「特定支障除去等事業実施計画」をまとめ、翌月の4月10日に発表した。なお、実施計画は国(環境省)に提出され、国の同意を得た。  

実施計画には、当時の中村市長の対応を厳しく批判する内容が盛り込まれた。  

たとえば、地下水路の破損につながる畏れがある転圧行為について、実施計画はこう指摘している。 「何ら指導を行っておらず、埋立容量増加や処分業の一部再開などの許可更新を続けていた」  

さらに実施計画は、中村市長と松山市の対応を以下のように厳しく批判した。

「適切な時期に改善命令等の法的拘束力のある行政処分を行うべきであった」

「市の権限行使の妥当性については不適当であったと認められる」  

先に触れたとおり、この実施計画には国も同意している。つまり国も、当時の中村市長の対応の誤りを認めたのだ。

“濡れ衣”を着せられた市議会議員たちの怒り

窮地に立った中村知事は、実施計画の発表の約2週間後、愛媛県庁での記者会見で「(市長当時の自分の対応は)法的には問題がなかった」と自己を正当化する一方、「(レッグ問題では)市議さんがうごめいていた」と突然、主張し始めた。  

中村氏の発言には、松山市議会に責任を転嫁しようとする思惑が感じられた。  

その後、中村氏は、市議がうごめいていた証拠として、市長時代の市役所の「部下から上がっている文書がある」 「関係部局が相談したメモが残っている」と言い出した。  

さらに中村氏はメモを参考に、自らパソコンで打ち直したという「メモ概要」なるものを公表した。

真偽不明のメモをもとに市議会批判を続ける中村氏に対し、松山市議会は「メモが本物なら、市が所管すべき公文書の行政情報に当たる」として、中村氏にメモの返還を求める決議を賛成多数で可決。

返還を求める決議文には、“濡れ衣”を着せられた市議会議員たちの怒りが込められていた。

「レッグ問題は、当時の松山市長の不適切、不十分な行政対応が原因となり、ここまで問題が深刻化した人災である」

「レッグ問題の発生とは全く関係が無いことを認めながら、未だに固執し続ける議員関与や圧力、また、根拠のない誹謗中傷・責任転嫁など、問題解決、真相解明に向けた取り組みに支障となっている知事による不可解な言動に終止符を打ち、更には、知事による市政への不当介入に歯止めをかける」  

だが中村氏は、市議会の決議を「ばかばかしい」と言って無視し、返還を拒否。メモが本当に実在するのかどうかの客観的証明がなされないまま、現在に至っている。  

なお、市議の介入について野志市長は「把握していない」と発言。市議の関与があったと主張しているのは中村氏だけだ。

定例会見での問題発言

こうした経緯を踏まえたうえで、2019年1月31日の定例会見での中村氏の発言を検証する。  まず問題なのが、本誌の報道への感想を訊かれたときの中村氏の発言である。  

中村氏は感想はそっちのけで、レッグ問題については法律上の制約があり、その制約の範囲内で対応せざるを得なかったと釈明したのだ。

「そもそも産廃の許認可事務というのは、国の法定受託事務なんですね。こういうルールで、こういう条件を満たせば、ちゃんと許可を下ろしなさいよというルールが決まっているので、実は、そこをチェックするのが法定受託事務の特色になっていますから、そこの裁量というのは、県にはないんですね。ですから、そこを逸脱すると訴訟で負けてしまいますから、その範囲で行った」  

すでに述べたとおり、私が問題にしているのは、松山市長時代に中村氏がレッグに対し、免許取り消しや法的拘束力のある行政処分を行わなかったことの妥当性と、それによって発生した大規模環境汚染についての中村氏の責任である。  

知事としての中村氏の対応を問題にしているわけではない。  

また、産廃業者に対する許認可権の行使に関して、国の法定受託事務だから自治体ができることは限られているような言い方もおかしい。  

法定受託事務とは、本来国が果たすべき事務を地方自治体が行うもの。だが産廃業者に対する指導、処分、許可の権限は国ではなく、都道府県知事、政令指定都市と人口三十万人以上の中核市の首長が持っている。松山市は中核市の一つだ。  

レッグ処理場の歴史を辿ると、もともとは愛媛県の所管だった。それが1998年に松山市に管理が移行したのに伴い、レッグに関する指導、処分、許可の権限も松山市長に移譲された経緯がある。  環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制対策課も、「松山市長には、廃棄物処理法の規定に基づき、産廃業者への許認可権がある」と本誌の取材に答えている。

では、こうした権限を首長が発動するのはどういうときなのか。環境省の通知「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務の取扱いについて」(06年改正)によると、産廃業者には欠格要件があり、これに該当する業者に対して首長は「速やかに不許可処分を行うこと」と定めている。また、「更新許可の場合においては、速やかに従前の許可の取消しを行うこと」と決めている。  

欠格要件に関しては、破産や刑事罰を科された場合などがあるが、それとは別に「おそれ条項」という項目も設けられている。

「申請者の資質及び社会的信用の面から、将来、その業務に関して不正又は不誠実な行為をすることが相当程度の蓋然性をもって予想され、業務の適切な運営を期待できないことが明らかである場合には、許可をしてはならないこと」  

このおそれ条項の4項目目と7項目目には、「廃棄物処理業務に関連した法令違反に関わる行政庁の指導等が累積することなどにより、上記と同程度に的確な業の遂行を期待し得ないと認められる者」に対しては、許可をしてはならないとされている。

自らが犯した失態の重大さに無自覚すぎる

では、問題のレッグはどんな業者だったのか。これについて、1月31日の会見で、中村氏は次のように話している。

「松山市長時代に幾度となく、改善の文書指導とか出し続けたんですが、全然応えられない。確かに、その結果として、まさか、あれだけのことをしでかしてですね、無責任にいなくなる。ましてや会社が転売、転売を繰り返して、自殺者まで出るというような会社でしたから、もうこれは悪質極まりない状況になっていたので、危惧をしていました」  

ところが、当時の中村市長は従うかどうかは業者次第という、任意の指導を13回も繰り返した挙句、業務廃止届を出したレッグに対し、業務再開許可を出したのだ。  

松山市が作成し、国が同意した先の「実施計画」は、当時の中村氏の対応を次のように批判している。

「『行政指導』は、事業者に対して任意の改善を期待するものであり、初めて指導する場合や軽微な違反の場合には有効であるが、指導しても改善が見られず、同様の違反内容を繰り返しているような状況であれば、適切な時期に改善命令等の法的拘束力のある行政処分を行うべきであった」 「市の権限行使の妥当性については不適当であったと認められる」  

中村氏は市長在任中の早い時点で行政処分、免許取り消しなどの権限を行使すべきだった。ところが、それを怠り、ダラダラと任意の指導を繰り返した。その結果、重大な環境汚染が発生し、70億円もの血税を投入することになったのだ。  

中村氏の責任は極めて重大である。  

ところが中村氏には、自らが犯した失態の重大さについての自覚がほとんど感じられない。1月31日の会見で、中村氏はこう言った。

「だから、法律論の中では、やったつもりなんですけれども、結果としてね、やはり残念な、あれだけの無責任な体制で、しかも、当初の関わった方も逃げ出すような状況でしたから、それはもう本当にその結果については、私はおわびを申し上げてきた経緯があります」  

中村氏が言った無責任という言葉は中村氏にこそふさわしいが、それはさておき、中村氏が「おわびを申し上げてきた」というのは本当なのか。  

私が知る限り、中村氏は一貫して「(市長当時の自分の対応について)法律的には問題はなかった」と主張してきた。  

また、14年3月4日の愛媛県定例議会では「度重なる行政措置命令を出したにもかかわらず、このレッグという会社は全く従わずに、そして問題が起こった」と、明らかな虚偽答弁を行っている。繰り返すが、中村氏は一度も強制力のある行政措置命令を出したことがない。  

中村氏のこれまでの発言をトレースすると、悪いのは業者と市議(これについては後述する)であり、自分は悪くないというのが本音のようだ。

まだある重大な疑問

中村氏がレッグに業務再開許可を出したことに関しては、もう一つ、重大な問題を指摘したい。  

先の環境省の「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務の取り扱いについて」は、「少なくとも債務超過の状態でないこと」を産廃業者への許認可の条件にしている。  

では、中村氏が業務再開許可を出した頃のレッグの経営状態はどうだったかというと、明らかな債務超過だったのだ。  

企業が債務超過かどうかは、貸借対照表の「純資産の部」を見れば分かる。純資産というのは資産と負債の差額のことで、これがマイナスだと債務超過である。  

つまり資産より借金のほうが多くなり、借金で何とか会社をやりくりしている状態だ。債務超過になると、金融機関から新たな借り入れを受けられないため、もし資金を出した相手が資金を引き揚げると倒産する危険性が高い。  

レッグの08年3月末の貸借対照表の純資産の部を見ると、4239万円の債務超過、09年3月末も6885万円の債務超過になっている。  

私の取材に、レッグの元役員の一人は「事業再開許可を市に出した当時の社長は、産廃業の素人だった。また、廃プラスチックの再利用で収益を上げないと経営が成り立たない状態だったが、廃プラに土砂が大量に混ざり、再利用は不可能だった」と証言しており、中村市長時代にレッグは事実上、経営破綻していた可能性がある。  

中村氏がレッグに業務再開許可を出したのは09年の6月だが、08年、09年3月末の貸借対照表を見ると、経理面からも、中村氏が出した再開許可の妥当性には大きな疑問符が付く。

まだある虚偽発言

「正義のヒーロー」のごとく持てはやされた加計問題では積極的に取材に応じる中村知事(KyodoNewsより)

ところで、会見での中村氏の発言には、他にも嘘と思える内容のものがあった。  

中村氏がレッグ問題で持ち出した“部下のメモ”についての発言だ。  

私は前回のレポートで、メモは真偽不明で、中村氏は市議会に責任転嫁しているのではないかと指摘した。その点について県政担当記者が質問したところ、中村氏は、虚偽発言とも取れる、真意を測りかねる発言をした。

「あのメモについても、これも市議会から提出を求められたら出しますよというところまで申し上げたんですが、何も言ってこないんですね」  

中村氏はこうも言った。

「当時から議員さんのレッグという会社との関係であるとか、ただこれも、うかつに名前とか出すとですね、また訴訟問題になるんですね。ですから、そこは慎重にやらせていただきました。結果として、市議会から、例えば説明に来るようにとか、資料を出せと言われれば、いつでも出しますよとまで言っているんですが、何もアクションがないということで、そのままになっていると」  

すでに書いたとおり、松山市議会は14年にメモの返還決議を可決している。返還決議の前にも、松山市議会では中村氏に対し、メモの公開を求める声が相次いだが、中村氏はメモの概要なるものを公表しただけで、メモの現物の公表を拒んだ。

「メモが本当にあるのなら、それを公開すれば済む話。中村氏は、名誉毀損訴訟を起こされる畏れがあることを理由に公開を拒んでいるが、万に一つ、メモなるものが存在しているとしても、その内容は怪文書まがいの代物で、証拠能力がまるでないものなのだろう。出すに出せないというのが実際のところではないか」  

ある松山市議はそう話す。  

このメモ問題については、13年から14年にかけて地元メディアでも繰り返し報じられてきたので、県政担当記者ならその経緯を詳しく把握しているはずだ。  

当然、会見での中村氏の発言についても「事実に反しているのではないか」と感じた記者もいるはずなのに、不思議なことに、会見でそれを指摘した記者は一人もいなかった。  

会見では、加計学園問題との絡みで知事に質問した記者もいた。この記者は「レッグ問題に絡めて、加計学園の関係の県文書についても、信ぴょう性を疑問視するようなことが書かれていたが、そのことについては」と質問した。  

だが前回のレポートは、中村氏を後押ししてきた加戸守行前愛媛県知事が産経新聞(2018年5月23日付)に寄せた談話に触れたに過ぎない。加戸氏は「(首相と加計理事長が面会したという文書については)加計学園側が今治市に話したことを県が今治市から聞いて、メモにしている。伝聞の伝聞。信憑性は疑わしい」と産経新聞に述べている。  

私自身は、加計学園絡みのメモについて真偽を判断する特別な材料を持ち合わせていないが、レッグ問題のメモについては、取材や関連資料の分析の結果、本当に存在するのかどうか極めて怪しいと感じている。また、メモを使って市議を批判し、責任転嫁する中村氏の手口に、あざとさと、いかがわしさを感じているのも事実だ。

都合の悪い取材は一切受けず逃げ回る

ところが中村氏は、県政担当記者の質問に「得たり」とばかりに反応。加計学園絡みのメモの信憑性を得意げに話し、私の「取材力」を揶揄した。

「全く次元の違う話ですから、加計学園のメモというのは、国から出てきたメモですから、われわれは全然関与していないんですよね。国の方から出てきたメモについて、どうなのかと問われたので、それ本当のメモですよ、うちの職員が書いたメモですよ、中身は間違いありませんよ、ということをわれわれは申し上げただけなので、全く次元の違う話じゃないのかなと。だから、ちょっと取材の力がどうなのかなというふうに感じましたけれどね。はい」  

せっかくのご指摘なので、私は「取材の力」を磨くよう心掛けるが、中村氏も、都合の悪い質問から逃げ回るのを止めるようお勧めする。  

そもそも中村氏は、私が出した質問書に対し、1週間以上の猶予があったにもかかわらず、一切回答してこなかった。  

回答期限が過ぎても連絡がないので期限を2日間延長し、本誌編集部が中村事務所に回答を催促したところ、事務所側は「あとで担当者から連絡させます」と答えたものの、電話一本かけてこなかった。さらに、先月号(2019年3月号)の発売後に、再質問書として改めて同様の質問項目を事務所に送付したが、一切連絡はこなかった。  

もちろん、取材を受ける、受けないは中村氏の自由だが、都合の悪い取材には一切答えないというのでは、「ものを言う知事」の名が泣くだろう。

元暴力団員の自殺未遂事件

今回のレポートの最後に、中村知事会見で質問が出た元暴力団組員の自殺未遂事件について触れておく。  

この事件は、本誌発売の5日前に起きた。毎日新聞の報道を引用する。

「21日午前2時ごろ、松山市一番町四丁目の愛媛県庁本館の正面玄関付近で、拳銃のようなものを握った男性(76)が負傷して倒れているのを警備員が見つけた。(中略)松山東署は自殺を図った可能性もあるとみて、拳銃かどうか確認している」  

その後の松山東署の調べで、この男性は愛媛県新居浜市の元暴力団組員と判明。元組員は28日、回転式拳銃一丁と実弾数発を所持したとして、銃刀法違反(拳銃加重所持)の疑いで逮捕された。  

この事件について、会見で質問を受けた中村氏は次のように話した。

「今回、これは確認は取れていないんですけれども、この方(容疑者)もレッグの関係があるやにも聞いていますので、何かがあるのかなという、ちょっとそんな気がしていますね」  

その後、2月6日、テレビ愛媛が「県庁前で拳銃で自殺を図った男 動機は“レッグ問題への抗議か”」という続報を流した。  

それによると、元暴力団組員の容疑者は自殺の動機について、レッグの問題で不正をただすために自決するつもりだったという趣旨の話をしていることが新たに分かったという。  

テレビ愛媛は「中村知事が松山市長時代に、松山市の産業廃棄物最終処分場レッグに処分場の杜撰な管理があったもので、その後、汚染水が漏れ出したため、対策工事などにおよそ70億円の巨額の公費がかけられています」とも伝えた。  

何やらきな臭い事件だが、事件は本誌が発売される5日前に発生しており、断るまでもなく、本誌の報道と事件は何の関係もない。  

私はレッグ問題に関連する資料を多数入手し、多くの関係者の証言も得ている。私はこの問題を引き続き取材し、報道していくつもりである。

長谷川学

https://hanada-plus.jp/articles/241

ジャーナリスト。1956年生まれ。早稲田大学卒業。講談社『週刊現代』記者を経てフリー。『週刊現代』で、当時の小沢一郎民主党代表の不動産疑惑(のちに東京地検が政治資金規正法違反で摘発)をスクープ。著書に『成年後見制度の闇』(飛鳥新社・宮内康二氏との共著)など。

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