枝野幸男クン、あんたアホや|九段靖之介

枝野幸男クン、あんたアホや|九段靖之介

衆議院選挙で立憲民主党と日本共産党とが選挙協力をし、立憲が仮に、万が一、あり得ないだろうが、衆院選で政権を取ったら、共産党は「限定的な閣外からの協力」を行うことで合意。いまや「立憲共産党」とも言われているが、この合意から想起するのは、ソ連共産党の権力構図だった――。


公明党が自民党をコントロールだと?

国会は10月14日、万歳三唱で解散した。

総理が全議員のクビをチョン斬る、それが解散だ。猿は木から落ちても猿だが、失職した代議士は「猿以下のタダの人」となる(大野伴睦の言葉)。なのに、なぜ万歳なのか、恒例とはいえ、なにやらヤケクソ万歳に聞こえて毎度、笑ってしまう。

以来、テレビは総選挙報道一色。見るともなしに見ていると、公明党代表・山口那津男が記者会見に応じて言う。 

「自民党には幅の広い色々な主張がある。公明党の役割はアクセルとブレーキを適切に踏み分けることと、ハンドルをしっかり握ること。道幅を右にそれたり、左にそれたりしないようにコントロールする役目がある。まさにそうした役割が大事だということを強調していきたい」

これ、ちょっと言い過ぎじゃないの。だってハンドルを握る運転手は自民党総裁・岸田文雄のはずでしょ。なのに不肖・山口がハンドルを握って自民党をコントロールしてみせますだと?

日中関係が緊張するたびに、CCTV(中国国営放送)のアナウンサーが次のように言うのを何度か聞いた。

「日本から公明党代表・山口那津男氏が訪中されました。中日関係の改善を願ってのことと思われます」

山口は日中関係のトラブルシュータ―を何度か務め、その都度、なぜか日本が譲歩している。今回、山口は中国の人権侵害や海洋侵出については触れない。憲法改正についても触れない。公明党は自民党の憲法改正案に反対し、「加憲」を唱える。

仕方なく安倍晋三は憲法九条に「自衛隊の明記」を加える提案をした。論争の火種を増やして憲法改正問題は前に進まない。石原慎太郎は自民党を去るときに言い残した。

「これから自民党は、なにかと公明党に足を引っ張られるぞ」

中国は日本の憲法改正を望まない。山口・公明党は中国が望む抑止力の役目を果たしている。山口の「ブレーキを適切に踏む」とは言い得て妙だ。

Getty logo

志位和夫がスターリンや毛沢東のように……

さて、今回の総選挙戦で最も面妖なのは立憲民主党と日本共産党、国民民主党の「三党合意」だ。これについて自民党幹事長・甘利明は言う。

「立憲民主党は共産党と候補者を一本化して戦うと言っている。勝ったほうが総理大臣(政権)を取るわけだから、われわれ(自民党)が持っている自由民主主義のもとで運営される政権と、社会主義(共産主義の意)が初めて入ってくる政権と、どちらを選びますかという政権選択の選挙だということが最大の焦点だ」

まさにその通りで、総選挙は政権選択そのものだ。だからこそ共産党委員長・志位和夫は言う。

「日本の政治を変えるには、自公政治そのものを終わりにする政権交代が必要だ。立憲民主党との候補者一本化の合意が確認された。最大限の協力を追求し、自民、公明と補完勢力を全部で打ち破って、全部で勝利する」

総選挙は政策を掲げて国民の信任を問う。なのに三党が掲げる政策はそれぞれ違う。たとえば共産党は「日米安保条約破棄、自衛隊は違憲」だ。政策の違いを不問にしての野合で、面妖と言うしかない。

志位は「三党全部で勝利する」、つまりは三党全部で自公の過半数(233議席)を阻止し、政権を取ると吠えるが、仮にそうなった場合、枝野政権の実体は全く不明となる。

いや、「閣外協力だから問題ない」と枝野も志位も言うに違いない。つまり志位ら共産党幹部が入閣することはない、だから安心(?)してくれと言いたい。

そこで想起するのはソ連共産党の権力構図だ。政治局委員九人は内閣の上に君臨し、政治責任は負わない。首相以下の内閣が負う。かくて政治局のトップ、書記長・スターリンは無答責の存在となる。

このシステムを踏襲したのが毛沢東らの中国共産党だ。毛沢東の粛清の被害者となった鄧小平は、復権するや集団指導制に切り替えた。それをまたぞろ元に戻し、終身・無答責の国家主席を目論むのが習近平だ。

仮に枝野が政権を取ったとする。志位は「政権を維持したいならオレの言うことを聞け」と、閣外から枝野を操り、自分は結果責任を一切負わない。旧民主党で権力の旨味を知った枝野は志位に従わざるを得ない。

かくて志位和夫はスターリンや毛沢東よろしく無答責の存在として日本の政治を左右できる。枝野クン、このカラクリ、わかるかな。

わからんやろうなぁ、あんたアホやから。

関連する投稿


自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員の靖国参拝の情報を赤旗と毎日新聞にリークした者を突き止めようとする防衛省と、防衛省内にいる内通者を守ろうとする共産党――事の本質は安全保障に直結する深刻な問題だった。


今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

皇室は我が国の根幹であり、我が国の歴史そのものである。日本共産党の志位委員長はかつて、「多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだ」と述べたが、これは皇統の破壊である。こうした論を無意味にするために今やるべきこととはなにか。


“1勝1敗”の衆参補選と宮城県議選で明らかになったこと|和田政宗

“1勝1敗”の衆参補選と宮城県議選で明らかになったこと|和田政宗

10月22日に投開票された衆参補選、宮城県議選は、自民党にとって厳しい戦いとなったが、何とか踏みとどまったとも言える結果となった――。なぜか。その理由と今後の展望を徹底解説!(サムネイルは首相官邸HPより)


「汚染魚食べろ」「人が住めない土地」「Fukushima Water」日本共産党の風評加害は組織的に行われていた|松崎いたる

「汚染魚食べろ」「人が住めない土地」「Fukushima Water」日本共産党の風評加害は組織的に行われていた|松崎いたる

日本共産党の度重なる風評加害の源泉は志位委員長による公式発言にあった!共産党が組織的に福島を貶め続ける理由は何か?『日本共産党 暗黒の百年史』の著者、松崎いたる氏による「ここが変だよ共産党」第8弾!


志位委員長が誤魔化す優生思想に染まった日本共産党暗黒の歴史|松崎いたる

志位委員長が誤魔化す優生思想に染まった日本共産党暗黒の歴史|松崎いたる

誤りを一切認めない独善的体質は党史『日本共産党の百年』の編纂でもいかんなく発揮された!志位委員長による歴史の偽造を元党員で『日本共産党 暗黒の百年史』の著者・松崎いたる氏が指弾する。ここが変だよ日本共産党第7弾!


最新の投稿


【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

【川勝劇場終幕】川勝平太とは何者だったのか|小林一哉

川勝知事が辞任し、突如、終幕を迎えた川勝劇場。 知事の功績ゼロの川勝氏が、静岡に残した「負の遺産」――。


【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「サンモニ」の”恐喝”方法|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは  『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

【読書亡羊】出会い系アプリの利用データが中国の諜報活動を有利にする理由とは 『トラフィッキング・データ――デジタル主権をめぐる米中の攻防』(日本経済新聞出版)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

【今週のサンモニ】岸田総理訪米を巡るアクロバティックな論点逃避|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。