庁舎内で勧誘・配達・集金
自治体職員が私費で購読する「しんぶん赤旗」についても、庁舎内での勧誘・配達・集金が行われていることを問題視する議論が活発化している。自民党本部が全国の都道府県連の幹事長宛に通達を出し、注意喚起したことで広がった。
この問題に火が付いたのは、2013年12月の福岡県行橋市議会での小坪慎也市議による発言だろう。 小坪議員は、共産党市議らが管理職職員を対象に「しんぶん赤旗」の購読を勧誘し、市役所内で配布・集金していることを是正すべきであるとして、「赤旗の購読は事実上、共産党への政治献金であり、庁舎内での勧誘・配布は禁止すべきだ」と主張。全国47都道府県と1700あまりの市町村の地方議会に、同様の行為がないか実態調査を求める陳情書を発送したのである。
これに危機感を抱いた日本共産党は「中央委員会書記局」名で都道府県委員会、地区委員会に対し、「陳情への対応」についての電話連絡を行った(2014年5月20日)。このなかで、小坪氏の陳情を「自治体、議会を反共と反動の党派的意図でもてあそぶもの」と切り捨て、詳細かつ具体的な対応を指示した。
自民党中央も動いた。同党組織運動本部は竹下亘本部長と吉野正芳地方組織・議員総局長の連名で、各都道府県連の幹事長に対して、注意喚起と実態把握を同年6月18日付で通達。「議員の立場を利用して半ば強制的に地方公務員に購読させているのであれば看過できない事態だ」などとし、議員の地位利用や庁舎管理規則に反している場合には「必要な対応」を取るよう呼び掛けた。
もちろん、自治体の職員が政党機関紙を購読すること自体に問題があるわけではない。公務員は政治的中立性が求められる立場だが、プライベートで政党機関紙を購読することは、憲法第19条に規定されている「思想・良心の自由」で守られた権利だ。
しかし、職員個人が庁舎内で政党機関紙を購読する場合は微妙な問題が生じる。何が問題かというと、「赤旗」の勧誘・配達・集金が庁舎内で行われていること、また、県議や市議が立場上弱い職員に対し、半ば強制的に勧誘を行っていることだ。この「強制勧誘」の実態については後述する。
即位礼正殿の儀に欠席した日本共産党