小川 そりゃそうでしょうね。一種の洗脳だもの。しかし、佳茂さん自身は、その状況からどうやって脱却したのですか。
籠池 頭のどこかで「これでいいのか」と思っていたことに加え、両親の逮捕勾留後から正確な情報を提供してくれる人がいたこともあります。
決定的だったのは今年1月、菅野氏と裁判費用の話で打ち合わせをしたときです。
私が「費用はどこから出るのですか」と訊いたところ、菅野氏は「民団幹部の会社経営者から工面する」と言われたのです。当時は勾留がもう少し長引くと想定しており、4,000万円程度を見積もっていたようでした。
小川 何と民団の名前が出てくるとは。菅野氏は、民団から4,000万円も引っ張ってこられるんですか。次から次へと驚く他ないな。
籠池 さすがに「民団」という名前が出たところで、私も「これ以上は無理だ」と判断し、その時を最後に菅野氏とは1度も会っていません。
小川 ご両親は今年5月25日、300日にわたる勾留を解かれて保釈されましたが、いまのご両親の様子はいかがですか。
籠池 両親とは保釈されてからすぐに向かった弁護士事務所のエントランスで会ったのと、電話で3度ほど話した、それっきりです。弁護士が「どうも長男がおかしい」と勘付いたらしく、私を両親から遠ざけ、保釈後の会見場にも入れなかった。
そもそも会見自体反対だったのですが、これも考慮されませんでした。
小川 弁護士ぐるみで籠池家を骨絡みにし、保守叩き、反安倍の情報戦に使うなんて、とんでもない話です。
同様に許し難いのは、朝日新聞をはじめとするマスコミや野党です。菅野氏が小出しにする情報に飛びつき、事実上、籠池家隔離の一助を担っている。家族を退ける弁護士や、活動家が家に住み込んでいる状況も異常なら、事実上、この構図に加勢しているマスコミも異常です。
籠池夫妻が菅野氏を「窓口」として選んで以降は、籠池夫妻のメディアへの露出は菅野氏次第だし、昭恵夫人と籠池夫妻の写真などを含む学園関係の資料を握っていたので、マスコミも「菅野に訊かないとネタが取れない」という面があったにしても、です。
籠池さんたちの人権や報道被害は完全に無視して、「テレビ受けするトリックスターだ」と目をつけ、消費し尽した。小学校は開校されず、保育園は認可取り消し、幼稚園も厳しい立場に立たされている。そして飽きたら見向きもしない。
この一連の流れは、明確な報道被害であり、深刻な人権問題です。
決定的な不信の種
編集部 一方で、この機にいくつか確認しておかなければならないことがあります。この間の数々の振る舞いが、「籠池前理事長は嘘つき」 「信用できない」というイメージを固めています。
特に保守派にとって大きいのは、かつての塚本幼稚園のHPに「昭和天皇が当園に御臨幸」と掲載されていた件についてです。
籠池 園に御臨幸されたというのは誤りです。まだ先々代の森友寛が理事長を務めていた時代ですが、昭和天皇が植樹祭で大阪へいらした時に、森友学園の系列の南港さくら幼稚園の園児が花束を贈呈したことがありました。その時の写真を使ってしまったのです。
その時のことをリアルタイムでは知らない職員が、HPを作成する際に「当園に御臨幸」と書いてしまった。結果的には話を盛ってしまったことになり、申し訳なく思っています。
塚本幼稚園は伊勢神宮や伊丹空港へ御皇族の方々がいらっしゃった際の奉迎を何度も実施し、園児だけでなく、保護者も参加していました。
今上陛下をはじめ、御皇族がいらっしゃる際には、園児たちを中心に奉迎行事に参加し、日の丸の小旗を振っていました。両陛下が園児に近づかれ、お言葉をかけられた場面の写真も見たことがあります。