結論ありきの賛否の前に
だが本書は〈混迷の三〇年は終わりを告げました、とこの話を終えるわけには行きません。実はまだ問題が残っていました〉と述べる。
それは、省益争いに端を発して「サイドドア」的な仕組みから始まってしまった外国人労働政策が、それゆえに「労働ではない」から始まって「あくまでも研修」「国際貢献の一環」などとされてきた問題を払拭しきれていなかったことである。
このズレは省益争いのみならず、本書が指摘する「日本型雇用環境と外国人労働・在留資格のミスマッチ」から生じたものでもある。
詳しくは本書をお読みいただきたいが、つまるところ「労働市場では、ある程度の技能を持っている人間を能力に応じて雇用する」という海外で主流のジョブ型と、「大学卒業時点では真っ白な白紙で、丁稚宜しく雑巾がけから始める」という日本型雇用のミスマッチにより、外国人を雇用する際に「その技能に合わせて相応の待遇で迎え入れる」という発想が抜けていたことに帰結するのだ。
移民や外国人労働者の問題はこうした議論から実に40年近く経った現在に至って、ようやく多くの国民が関心を抱くイシューになってきた面もある。結論ありきの賛否を唱える前に、まずは本書で議論の過程を抑えておきたい。
ライター・編集者。1980年埼玉県生まれ。月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経てフリー。雑誌、ウェブでインタビュー記事などの取材・執筆のほか、書籍の編集・構成などを手掛ける。

