待遇改善も防衛力強化のひとつ
この事実を知って「災害派遣現場での手袋を消耗品と考えて、破れたらすぐ交換できないのか?」と自衛隊員の待遇改善に熱心な和田政宗参議院議員に相談したところ、「能登半島地震について、手袋は十分な量を確保、投入しており、破れた場合はすぐに交換する。 防寒対策についてもしっかりやるよう現場に伝達する」と防衛省関係者から回答を得た。
和田政宗議員は言う。
「東日本大震災の自衛隊を見ていますから、防寒対策は特に重要と考えています。現場で凍えたりする自衛隊がいてはなりません」
自衛隊が報われるようにと考える国会議員は僅かながら存在する。自衛隊員に敬意を払ってくれる保守系の議員の数が増えてほしいと願う。
自衛隊災害時の手当は自衛隊の場合、日額で1620円、作業が著しく困難な場合は日額3240円。これは国家公務員の災害派遣手当が日額1080円、作業が著しく危険な場合は日額2160円と比べて少し金額が多いが、自衛隊はそもそも残業手当も休日手当もない。
河野太郎元防衛大臣が2019年11月12日のブログで「自衛隊の災害派遣等手当は他と比べて遜色ありません」と書いてあるが、残業手当等も含めて比較すると、少ないように思う。自衛隊員には国家公務員の残業や休日手当に当たる部分も補填する職責に見合った災害派遣手当を出してほしいと言わざるを得ない。
組織から大切に扱われていないと感じると人は離れていく。自衛隊の待遇改善も防衛力強化のひとつだ。
著者略歴
国防ジャーナリスト。関西外国語大学卒業後、広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動を開始。 2009年、政治や時事問題を解説するブログ「キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)」を開設し注目を集める。14年からは自衛隊の待遇問題を考える「自衛官守る会」を主宰。月刊『Hanada』、月刊『正論』、夕刊フジ、日刊SPA!などに寄稿。19年刊行の著書『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)は国会でも話題に。2022年10月、公益財団法人アパ日本再興財団主催・第十五回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞!